非課税世帯は医療費の還付はある?非課税者が医療費控除を受けられない理由を解説

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「医療費が高額だったから控除申請したい」と思っても、非課税世帯の方は還付が受けられない場合があります。

本記事では、「非課税世帯でも医療費還付はあるのか?」という疑問に対し、医療費控除の基本から、非課税者が対象外となる理由、高額療養費制度など代わりに活用できる支援策まで詳しく解説します。

制度の違いを理解し、損をしないようしっかり対策しましょう。

この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・非課税世帯に医療費の還付はあるのか
・非課税世帯が医療費控除を受けられない仕組み
・医療費控除と高額療養費の違い

非課税世帯でも医療費還付はあるの?

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医療費控除と聞くと「医療費が多ければ税金が戻ってくる」と思いがちですが、非課税世帯の場合は事情が異なります。

このセクションでは、非課税世帯が医療費控除によって還付を受けられるのか、その仕組みをわかりやすく解説します。

医療費控除と還付の関係を整理

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を通じて所得税や住民税が軽減される制度です。

控除によって課税所得が減るため、結果的に税金の一部が「還付」される仕組みになっています。

つまり、「還付」を受けるにはそもそも課税されている必要がある点が重要です。

非課税世帯だと税金がない=還付の原資もない理由

非課税世帯は、一定の収入以下で所得税・住民税が免除されている家庭です。

課税がされていない=税金を払っていないため、医療費控除を申請しても、軽減されるべき税額自体が存在しません。

したがって、非課税世帯は医療費控除を申請しても、税金の「還付」を受けることができません。

一般的には、非課税世帯は住民税の非課税を指します。
所得税が課税されており、住民税が非課税の場合も考えられます。
その場合は、所得税で医療費控除の恩恵を受け、住民税は医療費控除の恩恵を受けられないことになります。

非課税者が医療費控除を受けられない仕組みとは

「なぜ非課税だと控除が受けられないの?」と疑問に思う方も多いと思います。

ここでは、医療費控除の対象とならない根本的な理由を、税制度の観点から解説します。

併せて、専業主婦や年金暮らしの方など、具体的なケースについても触れます。

医療費控除は「課税所得がある人」が対象

医療費控除は、あくまでも課税対象となる所得がある人が対象です。

課税所得がなければ、いくら医療費を支払っても控除による節税効果が発生しません。

非課税であるということは、すでに最低限の生活に配慮され税金が免除されているため、追加の税控除は制度上不要とされています。

所得税と住民税の計算は、収入から所得を出し、所得から所得控除を引いて課税所得を算出します。この課税所得に税率を乗じて税金を算出していきます。

医療費控除は、控除の種類は所得控除となります。

つまり、そもそも所得がない人(=非課税)も、医療費控除で恩恵を受けることはできません。

所得が0円であれば、その時点で非課税となりますし、0円から何を引いても課税所得が下がることはありません。

市(都道府県)民税が非課税=そもそも納税していない

多くの自治体で市(都道府県)民税(住民税)が非課税になる基準は、年間の所得が一定以下であることなどが条件です。

障がい者・未成年・ひとり親であれば、所得が135万円以下で非課税となります。そのほかの方は、扶養する人数に応じて非課税の範囲が決まります。

住民税が非課税であれば、当然その税額を軽減する医療費控除の効果もありません。

このように、住民税の非課税者にはそもそも減らす税金がないという構造が、控除対象外の理由です。

専業主婦・年金のみの低所得世帯のケース

専業主婦や年金受給のみで暮らしている方の多くは、収入が最低限で課税対象外となることが多く、非課税世帯に該当します。

このような方々は、確定申告をしても還付がない場合がほとんどです。

ただし、年金収入が一定額を超えて課税対象となる場合は、医療費控除による還付の可能性があります。


高額療養費との違いと適用要件

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医療費控除と混同されやすい制度に「高額療養費制度」があります。

ここでは、両者の違いを明確にしつつ、非課税世帯でも利用可能な制度としてのメリットや、活用するために必要な認定証、負担限度額の目安について詳しく解説します。

医療費控除と高額療養費制度の違い

医療費控除は「税金の軽減」を目的とした制度で、年単位で医療費を合算し確定申告します。

一方、高額療養費制度は「医療費そのものの自己負担額を減らす」もので、医療機関での支払い額が1ヶ月の期間で、一定基準を超えた場合に超過分を払い戻してもらえる制度です。こちらは非課税世帯も対象です。

非課税世帯向け「限度額適用認定証」の活用

非課税世帯の方が高額療養費制度を利用する場合、「限度額適用認定証」を保険者に申請することで、医療機関の窓口での支払いをあらかじめ自己負担限度額までに抑えることが可能です。

事前に申請しておけば、高額な医療費でも大きな出費を避けられ、後から払い戻しを待つ必要もありません。

※マイナンバーカードがあれば限度額適用認定証の提示は不要となります。

所得別・年齢別の自己負担限度額の目安

高額療養費制度では、所得区分や年齢によって自己負担限度額が異なります。

たとえば70歳未満の低所得者(非課税世帯)は、1ヶ月の自己負担限度額が35,400円程度。

70歳以上になるとさらに低く設定されており、医療費が月10万円を超えても多くの部分が払い戻される対象となります。


非課税世帯向け医療費負担を軽減する制度まとめ

医療費控除が使えない非課税世帯でも、医療費の負担を軽くするための制度はいくつか存在します。

ここでは、非課税世帯が利用できる各種制度をまとめて紹介し、それぞれの内容や注意点、申請方法を解説します。

限度額適用認定証・標準負担額減額認定証とは

限度額適用認定証は、窓口での高額な支払いを抑えるための証明書で、加入している健康保険組合等に申請して取得します。

加えて、非課税世帯には「標準負担額減額認定証」も発行されることがあり、入院時の食事代や療養病床の居住費が大幅に軽減されるという特典があります。

合算療養費・高額介護合算療養費の概要

家族内で複数の医療機関に支払いをしている場合、それぞれの医療費を合算して限度額を超えた部分を申請できる「世帯合算療養費制度」があります。

また、介護保険サービスと医療費を合算して負担軽減できる「高額介護合算療養費制度」も存在し、非課税世帯にとって非常に有利な制度です。

申請方法と注意点(事前申請の必要性)

これらの制度は自動で適用されるものではなく、多くは「事前申請」が必要です。

たとえば「限度額適用認定証」は入院前に手元にないと、その場で全額を立て替え払いすることになってしまいます。

申請先は保険証に記載された健康保険組合や市区町村役場で、必要書類の確認も忘れずに行いましょう。

まとめ:非課税世帯は医療費の還付はある?

非課税世帯は、医療費控除による還付が受けられませんが、高額療養費制度や限度額適用認定証など、医療費の実質的な負担を軽減できる制度は複数あります。

医療費控除という制度は「税金を軽減」するための制度であるため、税金の支払いがない非課税世帯は医療費控除を受けられないことになります。

一方、高額療養費制度は非課税世帯でも適用されるものです。

申請のタイミングや手続きの違いを正しく理解し、活用すれば、突然の医療費負担にも安心して対応できます。

自分や家族の状況に合った制度を上手に使いこなし、生活の不安を軽減していきましょう。

基礎知識
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