2022年以降の中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件について

基礎知識
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中古住宅の購入を検討している、または、中古住宅を購入した方でローンを組んでいる場合、住宅ローン控除を受けられる可能性があります。

2022年以降に中古住宅を購入した場合は、住宅ローン控除を受けられる要件が緩和されています

これまで対象にならなかった方も対象となる可能性がありますので、この記事では控除を受ける要件と改正点を中心に詳しく解説していきます。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・中古住宅に係る住宅ローンの適用要件
・中古住宅に係る住宅ローンの適用要件の改正点
・控除率について
・住民税への住宅ローン控除の反映について

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除は数年おきに改正されているもので、控除率が変わったり、控除期間が変わったりと

税制改正によって変更が多い控除ですので、現行の制度しっかりと把握する必要があります

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件(2022年~)

【中古住宅に係る住宅ローン控除の主な適用要件】

新耐震基準(昭和57年1月1日以降の住宅)に適合している住宅

所得金額が2,000万円以下

・住宅ローンの返済期間が10年以上

・床面積が50㎡以上

・住宅の引き渡しから6ヶ月以内の入居

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件(改正前)

【中古住宅に係る住宅ローン控除の主な適用要件(改正前)】

木造住宅(築年数20年以内)

マンションなどの耐火建築物(築年数25年以内)

※築年数が超えた場合は次の証明書があれば控除を受けられます。
・耐震基準適合証明書
・住宅性能評価書の写し
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約

所得金額が3,000万円以下

・住宅ローンの返済期間が10年以上

・床面積が50㎡以上

・住宅の引き渡しから6ヶ月以内の入居

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件の改正点の比較

 改正前改正後
築年数20年~25年なし(新耐震基準で満たせばOK)
所得制限3,000万円以下2,000万円以下

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件の改正点のポイント

2022年からは築年数の要件が撤廃され、「新耐震基準(昭和57年1月1日以降の住宅)に適合している住宅」が対象となりました。

これまでは、20年以内や25年以内の築年数の縛りがあり、その年数を超えた場合、耐震化に係る証明書が必要でした。

これらの証明書が発行されずに住宅ローン控除を受けれない方を何人も見てきたので、この改正は中古住宅を購入する方にはとてもいい改正だと思います。

また、住宅ローン控除の場合、必要書類の多さなどにより、確定申告が一回で終わらないことも多くありましたので、適用要件が簡素化され申告もやりやすくなりました。

もう一つの改正点としては、所得制限が3,000万円以下から2,000万円以下に変更されたことです。

大抵の方は2,000万円以下の所得ですので、元々2,000万円以下の所得の方にとっては影響のない改正点となります。

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控除率について

2022年からは、住宅ローン控除の適用要件の改正のほかに、控除率も変更となっています。

これまで1%だった控除率は0.7%に改正されました。

控除率の変化による税額の影響額について

住宅ローン控除は簡単に計算をすると、購入時の金額、または、年末残高の金額の低い方に控除率を乗じて算出します。

【簡易な計算例】

・購入金額1,050万円
・年末残高1,000万円

年末残高の方が金額が低いので1,000万円をベースに計算します。

改正後:1,000万円×0.7%=70,000円

この7万円を所得税から差し引くことで、税額が安くなります。

なお、所得税で引ききれなかった部分は上限がありますが、住民税から差し引かれます。

ちなみに改正前の控除率で計算すると以下のとおりです。

改正前:1,000万円×1%=100,000円

改正前と改正後を比べると3万円の差が出ていることがわかります。

住民税における改正について

住宅ローン控除で、所得税から引き切れなかった控除額は住民税に反映されますが、この住民税に反映される限度額に改正がありました。

住民税に反映できる限度額は、

改正後:97,500円、または、所得税の課税所得金額の5%のいずれか低い方

改正前:136,500円、または、所得税の課税所得金額の7%のいずれか低い方

となります。

※課税所得金額は所得から所得控除を引いた金額(所得税の税率を乗じる時の金額)です。

【計算例1】

・課税所得金額:100万円
・住宅ローン控除額:9万円

100万円×5%=5万円

97,500円と5万円では5万円の方が低いので、5万円が限度額となります。

所得税の額は、100万円×5%=5万円となります。

住宅ローン控除9万円-所得税5万円=4万円

住宅ローン控除により所得税は0円となり、住民税に残りの住宅ローン控除4万円が控除として使えます

【計算例2】

・課税所得金額:100万円
・住宅ローン控除額:12万円

100万円×5%=5万円

97,500円と5万円では5万円の方が低いので、5万円が限度額となります。

所得税の額は、100万円×5%=5万円となります。

住宅ローン控除12万円-所得税5万円=7万円

※7万円の住宅ローン控除が余っているが、限度額が5万円のため住民税で使えるのは5万円

住宅ローン控除により所得税は0円となり、

住民税に住宅ローン控除の限度額である5万円が控除として使えます

【計算例3】

・課税所得金額:200万円
・住宅ローン控除額:22万円

200万円×5%=10万円

97,500円と10万円では97,500円の方が低いので、97,500万円が限度額となります。

所得税の額は、200万円×10%-97,500=102,500円となります。

住宅ローン控除22万円-所得税102,500円=117,500円

※117,500円の住宅ローン控除が余っているが、

限度額が97,500円のため住民税で使えるのは97,500円

住宅ローン控除により所得税は0円となり、

住民税に住宅ローン控除の限度額である97,500円が控除として使えます

まとめ

中古住宅に係る住宅ローン控除の適用要件は緩和されたものの、控除率の減少・限度額の減少という改正が行われました。

築年数の要件緩和で住宅ローン控除を受けやすくなったのは間違いありませんので、受けられる控除をしっかり受けれるように準備をしましょう。

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