「役所や役場から扶養親族の確認の通知が来たけど、どう回答すればいいのだろう?」
「扶養親族が重複で扶養されているため、どなたが扶養するか決めてと通知が来たけど、どう回答すればいいの?」
市区町村では所得の把握ができていない扶養親族や重複扶養の状況を正しく直すため、調査を行っていることがあります。
この記事では、扶養親族の調査が送られてくる仕組みや重複扶養の際の回答のポイントについて解説します。
扶養親族の調査が来た理由
扶養親族の調査が市区町村から来た場合、市区町村は調査対象者の所得を把握できていません。
扶養に入れる所得は年間で48万円(給与収入で103万円)以下という決まりがあるため、この所得の範囲内かどうかを確認するための調査です。
所得の範囲内であれば問題なし、所得の範囲外であれば扶養控除は外され、住民税の税額が上がることになります。
なぜ所得を把握できていないのかというと・・・。
市区町村は、給与や年金などは支払者からの報告で所得を把握し、確定申告の情報は税務署から報告を受けて所得などの情報を得ています。
この報告については、1月1日に住所がある市区町村に送ることになっています。
つまり、扶養親族が扶養者(納税義務者)と違う市区町村の場合、所得が把握できないということになります。
扶養親族の情報はどこから得たの?
扶養親族の情報は、支払者から市区町村に送付される「給与支払報告書」、「公的年金等支払報告書」に氏名と個人番号(マイナンバー)が記載されています。
また、確定申告書を提出した方はおわかりかと思いますが、確定申告書第二表の親族に関する事項に氏名と個人番号(マイナンバー)等を記載しますので、その記載内容から情報を把握します。
なお、確定申告の場合、別居の者の氏名・住所を記載するところがありますので、ここに記載していれば調査が来ることはないです。
別居の扶養親族の所得の把握方法
調査の回答から別居の扶養親族の住所が判明したら、個人番号(マイナンバー)を使用する情報連携や文書による調査依頼により、判明した市区町村に確認を取ります。
現在は、マイナンバーによる情報連携で所得等の情報は、すぐに判明します。
確認の結果、扶養の対象かどうかを判断され、所得が扶養の範囲外のときだけ、更正の通知(税額が変更になったお知らせ)が来ます。
調査には正しく答えよう!
ここまで見てきて、「調査に答えなければ扶養親族の住所がわからず、所得が把握できないのでは?」と思っていませんか?
市区町村には様々な権限が与えられているため、あらゆる方法で調べることができます。よって、正しく回答した方が得策と言えます。
重複扶養の回答のポイント
1人の扶養親族を同時に2人の方が扶養することはできません。
AさんがBさんを扶養、CさんがBさんを扶養
1人の扶養親族(Bさん)を同時に2人(AさんとCさん)が扶養することはできません。
この状態を重複扶養の状態といいます。
何かの行き違いなどで、重複扶養してしまった場合、市区町村からどちらが扶養するのかの確認の調査が来ることがあります。
実際に扶養している人を回答する
当然のことですが、実際に扶養している人が誰なのかを答えましょう。
実際に扶養していなかった方は、扶養控除を受けた状態で住民税が課税されているため、基本的には住民税が上がることになります。
税額に影響があるかを確認する
「どちらも扶養しているからどっちに扶養を残したらいいかわからない?」
「どっちが扶養した方が税金が安くなるの?」
と思っている方がほとんどだと思います。
様々なケースがあるので一概には答えは出せませんが、数パターン例示しますので、参考にしてみてください。
(例1-1)子は16歳未満
16歳未満の子は扶養控除額はありませんので、住民税が非課税になるかの判定を考えます。
どちらか一方が子を扶養することで住民税が非課税になるのであれば、その方が扶養するといいでしょう。
※非課税の判定について詳しく知りたい方は「住民税を非課税にする方法!扶養の入れ方で住民税が非課税になる⁉」の記事をご覧ください。
(例1-2)子は16歳以上
住民税では扶養控除として33万円の控除を受けることができます。
夫と妻の所得や控除の状況によって様々なケースがありますが、一般的には所得の高い方に扶養を入れた方がいいでしょう。
住民税は影響がありませんが、所得税の場合、所得が高い人の方が税率が高くなりやすく、税率が高い人の方がより税金が安くなる恩恵が受けられるからです。
※扶養を外すことで住民税が非課税から課税になる場合は、所得の低い人に扶養を残した方が有利になる場合があります。
70歳以上の方を扶養する場合、同居している子の方が扶養控除額が高いです。
70歳以上の扶養は住民税で38万円の控除額に対し、70歳以上の同居している親は45万円の控除額になります。
よって、金額だけを考えるなら同居している方の方が有利になります。
給与収入100万円の妻は住民税が非課税のため(※市町村によっては課税のところもあります。)、妻が子を扶養しても扶養控除の恩恵は受けられないことになります。
既に非課税ですので、非課税の方が控除をいくら増やしても税額は変わりません。
つまり、夫が子を扶養した方が有利になります。
扶養している状況は人によって千差万別です。
住民税や所得税の知識が高い人は自分で考えて選択できますが、それができない方がほとんどです。
どう回答すると有利になるのかわからない方は、調査を送ってきた市区町村に相談してみるのが一番いいと思いますので、お困りの方は迷わず相談しましょう!
回答しないとどうなる?
重複扶養の調査に回答しないとどうなるかというと、市区町村の判断でどちらかの扶養が外されます。
重複扶養の状態は必ず解消しなくてはならない状態です。
回答しないと意図しない方の扶養が外さる可能性がありますので、きちんと回答しましょう。
所得税の申告を忘れずに!
今回の調査は市区町村から来た調査について解説していますが、この調査に回答した結果、扶養が外れた場合は住民税が更正(税額が変更)されます。
しかし、あくまでも更正されるのは住民税だけです。
所得税は国税であるため、市区町村では更正することができません。
税務署でも扶養の調査を行いますので、後々、所得税の修正申告をするよう連絡が来ると思います。
しかし、税務署の調査は、数年後に来ることも多々あります。
申告の時期が遅れれば遅れるほど、延滞税などが発生してしまいますので、税務署の調査来る前に所得税の申告(確定申告)を行いましょう!
まとめ
税金の計算は複雑で馴染みの薄いものです。
調査が来たら正しく答え、わからないものはすぐに確認することをお勧めします。
きちんと相談すれば市区町村の職員も有利な方法を教えてくれるはずです。
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