住民税の課税の基準日は毎年1月1日です。
住民税は、1月1日時点でお住まいの市区町村で課税され、前年の1月1日から12月31日の間に受け取った収入に基づいて課税されるものです。
この記事では、事例を紹介しながら住民税の基準日などについて詳しく解説します。
住民税の課税の基準日について
住民税の課税の基準日は1月1日です。1月1日にお住まいの市区町村で1年間分の住民税が課税されます。
例えば、令和5年1月1日にA市にお住まいであれば、令和5年度の住民税がA市で課税されます。
次からは事例を交えてケース毎に解説します。
引っ越しをした場合
【令和5年1月1日にA市お住まいの場合】
基準日は1月1日なので、1月2日以降に引っ越しをしても令和5年度の住民税はA市に支払うことになります。
1月2日にB市に引っ越した場合でも、A市に1年間分の住民税を支払うことになり、少し不思議な感じがしますが間違いではないです。
住民税の決定通知や納税通知書が手元に来るのは、5月~6月になります。B市に住んでしばらくたっているのにA市から通知がきたから間違いではないかと、市区町村に多く問い合わせが来ますが間違いではありません。
【1月1日に引っ越しをしたら?】
1月1日にA市からB市に引っ越しをした場合、課税をするのはB市になります。
1月1日時点での最後にいる市区町村で課税されることになります。
亡くなった場合
亡くなった場合も1月1日で判断をします。
1月1日に生きていれば1年間分の住民税が課税されます。
【事例1】
令和5年12月1日に死亡
令和5年度分をすべて支払う必要があります。
【事例2】
令和5年4月1日に死亡
令和5年度分をすべて支払う必要があります。
6月頃に納税通知書(納付書)が届きますので、「亡くなっているのになぜ届いたの?」という問い合わせが多いですが、1月1日に生きているので令和5年度分が課税され、相続人が支払う必要があります。
【事例3】
令和5年1月2日に死亡
令和5年度分をすべて支払う必要があります。
事例2と同様ですが、1月1日に生きているので令和5年度分が課税され、相続人が支払う必要があります。
【事例4】
令和5年1月1日に死亡
令和5年度分は支払う必要がありません。
1月1日に存命ではないため、令和5年度分は課税されません。
<勘違いしやすいこと>
会社でお勤めの方で住民税を給与から天引きされている方は、亡くなったときに最後の給与でその年度の住民税を一括で徴収されるか、納付書で支払います。
「支払ったのに、また、納税通知書が来た」という問い合わせが来ることがありますが・・・
給与からの天引きの場合、その年度の住民税は6月から5月までとなりますが、仮に2月に亡くなった場合、住民税はその年度の残りの分を支払います。
そして、新年度になって改めて新年度分の住民税が課税されるため、もう払ったのにと勘違いしてしまうことが多いです。同じ年に支払っているから余計に勘違いしやすいです。
【具体的な日付で説明すると・・・】
令和5年2月に死亡した場合
令和5年2月分の給与で令和4年度の住民税の2月~5月分を支払います。
令和5年1月1日に存命のため、令和5年度分の住民税が課税されるため、6月頃に納税通知書が送られてきます。
このような状況から勘違いしやすくなっています。
住民票を異動させていない場合
住民税は1月1日に住んでいるところで課税されます。
住民票を異動させていない場合は、住民票の市区町村、お住まいの市区町村のいずれかで課税されることになります。
住民票の住所で課税
基本的には1月1日に住民票がある市区町村が課税することになりますので、1月1日以前に引っ越しをして市区町村が変わっていたとしても住民票の住所の市区町村で課税されます。
市区町村の担当者は・・・
住民票があればそこに住んでいると判断します(小さな村とかでは引っ越ししたらわかると思いますが)。
そのほかに、確定申告書に記載の住所や給与支払報告書(源泉徴収票)の記載の住所などで居住の実態を確認するケースが多いです。
実際に住んでいるところで課税
1月1日現在で居住の実態があれば住民票以外の住所の市区町村で課税され、住民票の市区町村より優先されて課税されます。
住民票を動かしていなくても、確定申告書や給与支払報告書(源泉徴収票)に記載の住所を確認して市区町村は課税を行います。
住民票がない市区町村は、地方税法294条3項に基づき課税を行いますが、その課税した方の住民票上の市区町村に「課税しますよ」という通知を送るので二重課税はされないことになります。
ただし、市区町村が住民票の住所がわからない場合は通知を送れず、二重課税の可能性が出てくるので住民票は居住の実態に合わせて異動させることをお勧めします!
二重課税になる状況とは
住民票A市、住んでいるのはB市の場合
確定申告書にB市の住所を記載し、お勤めの会社に住所の変更を知らせていない場合は、
☞確定申告書はB市の住所を記載しているためB市へ送付されます。
☞会社は住民票のA市の住所しか把握していないため、A市へ給与の報告書を送付します。
この状況になり、B市が住民票の住所を確認できず通知を出さないまま課税し、A市でも会社からの給与の報告をもとに課税することで二重課税が発生します。
※B市は住民票の住所を確認できた場合にだけ通知する義務が発生します。
海外(外国)に行った場合
1月1日に現在の居住実態で課税されますので、1月1日以前に海外へ出国した場合は原則課税されません。
外国へ行く予定があり、その予定が1月1日付近であれば12月中に転出届を出せば、1年間分の住民税が課税されません。
しかし、次の場合には課税されるので注意しましょう。
・ワーキングホリデーで出国した場合
住民税を課税する所得の期間について
住民税を課税する上での所得は、前年の1月1日から12月31日までの期間中に受けたものが対象となります。
例えば、給与所得者であれば、令和5年度の住民税は、令和4年1月1日から令和4年12月31日に支給された給与で算定されます。
では、少しわかりにくい翌月支給の給与はどうなるでしょう?
翌月支給の給与とは、12月に働いた分の給与が1月に支給される場合を指しますが、住民税の計算では、あくまでも支給時点で考えますので、1月に支給されたもので計算を行います。
【例】
令和3年12月に働いた分の給与が令和4年1月振り込まれた
この場合、令和4年1月に支給されたものとなりますので、住民税としては令和5年度の課税に含まれます。
※令和5年度の課税は、令和4年1月1日~令和4年12月31日の所得で計算
住民税の通知の来る時期について
住民税の通知は、特別徴収(給与からの天引き)の方であれば5月に会社から通知を渡されます。
普通徴収(納付書払いや口座払い)の方であれば、市区町村によって時期は異なりますが、5月~6月にご自宅に通知が届きます。
また、年金からの天引きされている方については、市区町村によって時期が異なりますが、概ね6月頃に通知が届きます。
まとめ
住民税の課税は1月1日を基準として、お住まいの市区町村が課税します。
引っ越しや住民票の異動状況によって課税される市区町村が変わることがありますが、1月1日時点で生きていたら納税する義務が発生するものになります。
前年の所得に応じて課税されるので、前年より収入が少なくなると支払いが重たくのしかかってきますので、前年の所得で課税されることを頭に入れて、計画的に支払いましょう。
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