「一度提出した確定申告を修正・更正した場合、住民税では何か手続きは必要なの?」
税務署に呼び出されて修正申告をしたり、控除を入れ忘れて更正の請求をしたりと、一度提出した確定申告の内容を変更する機会があると思います。
しかし、確定申告をしたけど、住民税の手続きはどうやるのかと、新たな疑問が出てくると思います。
この記事では、住民税での手続き方法から税額変更の流れについてわかりやすく解説します。
修正申告、更正の請求をした場合の住民税の手続き方法について
修正申告・更正の請求に限らず、確定申告の期限後に初めて確定申告書を提出した場合についても、住民税の手続きをすることはありません。
確定申告に関する情報は、住民税を課税する上での基礎データとなります。
そのため、税務署で行った確定申告(修正申告や更正の請求を含む)の情報は市区町村に自動的に送られることになっています。
そのことから、ご自身で改めて住民税の申告等は必要ないことになります。
一度提出した確定申告の内容を変更することで税額が増加する申告のことです。
(例)経費を多く算入していた、扶養者の所得が超過していた、など※更正の請求とは
一度提出した確定申告の内容を変更することで税額が減少する申告のことです。
(例)扶養を入れ忘れたため追加した、ふるさと納税を追加した、など
※確定申告の期限内に確定申告書の内容を変更することは「訂正申告」といいます。
住民税の税額変更の流れについて
ここでは、修正申告や更正の請求を行った申告の内容がどのように住民税に反映されるのかを解説します。
税務署から市区町村へ申告内容の送付
税務署から市区町村へ、データにより申告内容の送付が行われます。
税務署と市区町村で繋がっているシステムを介してデータの送受信が行われています。
よって、税務署で申告内容の確認が終わると、市区町村へデータが送られるので、早ければ数日で申告内容のデータが市区町村に届きます。
しかし、通常の確定申告は数日でデータが送られますが、修正申告や更正の請求については内容の精査に時間を要するため、その分のデータの送信までに日数がかかります。
特に、更正の請求ついては、その内容にもよりますが、内容の精査に数ヶ月を要することもあります。
市区町村が住民税を再計算する
税務署から申告書のデータを受領した市区町村は、そのデータを基に住民税を再計算します。
所得税と住民税では控除額が違うことなどもあり、所得税が上がったからといって住民税も上がるわけではありません。
当然、その逆も考えられ、所得税が下がったからといって住民税も下がるとは限りません。
所得税が下がった(還付になった)のに住民税は変わらないケース
(例1)控除を追加して所得税の還付を受けた
住民税が非課税または均等割しか課税されていない場合、控除を追加しても住民税は変わりません。
非課税の場合、下がる住民税がないので、住民税は変わらない。
均等割だけの場合、控除追加しても均等割は下がることがないので、住民税は変わらない。
(例2)源泉徴収税額の記載漏れが判明し、所得税の還付を受けた
所得税では、算出された所得税額と源泉徴収税額を比較して、源泉徴収税額の方が高い場合に還付されることになります。
しかし、住民税では、源泉徴収税額は住民税の計算では使用しないため、住民税の額は変わらないことになります。
市区町村から会社や個人へ通知を送る
住民税の計算の結果、住民税が上がる場合や下がる場合には、市区町村から住民税の変更通知が送られてきます。
会社勤めで特別徴収(給与からの天引き)の場合、市区町村から会社宛てに住民税が変更になったことをお知らせする「特別徴収税額の変更通知書」が送られてきます。
その後、会社の担当者から変更通知書が個人に渡されることになります。
給与の特別徴収以外の方は、ご自宅へ直接納税通知書が送られてきます。
国民健康保険料(税)について
国民健康保険に加入している場合、修正申告や更正の請求についてご自身で報告する必要があるのかないのかを併せて解説します。
答えとしては、報告する必要はありません。
国民健康保険料(税)は市区町村が税額を計算しているため、住民税の内容が変わったことを把握し、自動的に国民健康保険料(税)の再計算を行います。
そのため、ご自身で改めて申告する必要はありません。
控除をいくら追加したとしても、国民健康保険料(税)で使用する控除は基礎控除のみなので、影響がないということになります。
(例)更正の請求で扶養控除を追加した
国民健康保険料(税)は変わりません。
まとめ
所得税の修正申告や更正の請求を行った場合の住民税の手続き方法等を解説しました。
申告を修正するだけでも大変なのに住民税の手続きも必要なの?と思っていた方には朗報でしょう!
住民税については、特段手続きはありませんので、申告が終わってすることは「待つ」ことだけです。
住民税の変更の通知が来るまで気長に待ちましょう。
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