所得税0円なのに住民税課税の訳?3つの事例で解説!

住民税
当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています。

「確定申告で所得税が0円だった」「確定申告で所得税が全額還付された」
「なのになんで住民税が課税されているの?」
と思っている方も多いのではないでしょうか。

これは、所得税と住民税の計算の仕方の違いから生じるもので、間違っている訳ではありません。

この記事では、所得税と住民税の計算方法の違いと、所得税が0円で住民税が課税される事例を紹介します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・所得税と住民税の計算方法の違い
・所得税0円で住民税が課税される事例

所得税と住民税の計算方法の違い

所得税と住民税では、大まかな計算方法は同じです。

大まかな計算方法
1.収入から所得を算出
2.所得から所得控除を引いて課税所得金額を算出
3.課税所得金額から税額を算出
4.税額から税額控除を引く

所得税が「0円」になるケース

所得より所得控除の方が大きい

所得から所得控除を引いて課税所得金額を算出します。
所得より所得控除の方が大きい場合、その答えはマイナスとなります。
しかし、課税所得金額はマイナスにはならないため、答えは「0円」となります。

この課税所得金額に税率を乗じて所得税を算出しますが、0円に税率を乗じても答えは0円となるため、結果的に所得税が「0円」となります。

税額より税額控除の方が大きい

課税所得金額に税率を乗じて算出した税額から税額控除を引くと、最終的に支払うべき所得税額となります。
税額より税額控除が大きい場合、その答えはマイナスとなります。
しかし、支払うべき所得税額はマイナスにはならないため、答えは「0円」となります。

所得より所得控除の方が大きい、税額より税額控除の方が大きいからといって還付になるわけではありません。

還付になるのは、既に支払っている所得税(源泉徴収税額)があり、その金額と実際に支払うべき所得税額を比べて、既に支払っている所得税額(源泉徴収税額)の方が大きい場合に還付が発生します。

住民税が「0円」(非課税)になるケース

住民税は所得税と違い、「所得より所得控除の方が大きい」「税額より税額控除の方が大きい」場合でも0円にならないことがあります。

住民税は所得割と均等割で構成されていますが、前述した条件の場合、所得割は0円になりますが、均等割は0円になりません、
均等割が0円になるのは、別の条件で判定をします。

所得割:所得金額等に応じて課税されます。
均等割:一定の所得を超えると定額で課税されます。
均等割が0円になるということは住民税が非課税になるのと同じ意味になります。
住民税が非課税になる条件は、所得(※収入ではなく所得)が以下の表の範囲内の場合です。
 級地  単身者           扶養家族がいる場合
1級地 45万円 35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族の数)+31万円
2級地 42万円 32万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族の数)+28.9万円
3級地 38万円 28万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族の数)+26.8万円

※級地とは生活保護の級地制度で、地域の生活水準の差を生活保護基準に反映させるための制度です。
どの級地区分に該当しているかはお住いの市区町村に確認しましょう。

(例1)1級地の区分と仮定し、単身者の場合は、所得が45万円以下で非課税となります。
※45万円の所得は給与収入だと100万円です。

収入と所得の違いがわからない方は「収入と所得の違い 5つの所得の計算方法について」記事をご覧ください。

(例2)1級地の区分と仮定し、扶養親族が2人いる場合は、
35万円×(本人1+扶養2)+31万円=136万円

非課税の基準について、詳しく知りたい方は「住民税非課税世帯とは?わかりやすく解説 非課税になる収入金額とは」の記事をご覧ください。
スポンサーリンク

所得税0円で住民税が課税される事例

所得税が0円になる場合と住民税が0円になる場合の解説をしました。
では、実際に所得税が0円で住民税が課税される事例を3点紹介します。

1.所得が住民税の非課税基準内ではなく所得税が0円

住民税の課税・非課税は所得が非課税の基準内かどうかで判断し、所得税は所得と所得控除を比べて、所得控除の方が高ければ0円となります。

次の条件で所得税と住民税を比べてみます。
条件:給与収入103万円、控除は基礎控除のみ、単身者

〇所得税

給与収入103万円は所得にすると48万円です。
所得税の基礎控除は48万円。
所得48万円-所得控除48万円=0円

0円に税率を掛けても0なので、所得税は0円になります。

※基礎控除は一定の所得以下であれば誰でも受けられる控除です。

〇住民税

給与収入103万円は所得にすると48万円です。
住民税の基礎控除は43万円。
所得48万円-所得控除43万円=5万円

所得48万円は非課税基準の範囲内ではないので住民税は課税されます。
5万円に税率10%分の所得割と均等割が課税されます。

このような計算の違いから所得税が0円で住民税が課税されるケースが出てきます。

2.住宅ローン控除がある

住宅ローン控除があると所得税が0円になるケースが多いです。

次の条件で所得税と住民税を比べてみます。
条件:給与収入300万円、所得控除102万円、住宅ローン控除5万円、単身者

〇所得税

給与収入300万円は所得にすると202万円です。
所得202万円-所得控除102万円=100万円
課税所得金額100万円×税率5%=5万円
5万円-住宅ローン控除5万円=0円
※住宅ローン控除は「税額控除」といわれるもので、税額を算出してから引く控除です。

今回の場合、税額と住宅ローン控除が一致しているため所得税は0円となります。
もちろん税額より住宅ローン控除の方が高い場合も所得税は0円となります。

〇住民税

給与収入300万円は所得にすると202万円です。

所得202万円は非課税基準の範囲内ではないので住民税は課税されます。

住宅ローン控除がある場合、所得税が0円になりやすいですが、ある程度の所得があることが想定されるため住民税は課税になりやすいです。

3.住民税のみ申告している所得がある

次の条件で所得税と住民税を比べてみます。
条件:給与収入90万円、副業による雑所得15万円、所得控除48万円、単身者

〇所得税

給与収入90万円は所得にすると35万円です。
副業による雑所得が15万円ありますが、給与1か所とその他の所得が20万円以下であれば、所得税の申告は不要(※申告不要制度)です。
つまり、所得税を計算する上では、給与の所得35万円だけで使用します。

所得が35万円であれば所得控除48万円の方が高いため、所得税は0円となります。

〇住民税

給与収入90万円は所得にすると35万円です。
副業による雑所得の15万円を含んで計算します。
住民税には所得税のような申告不要制度はありません
所得は35万円+15万円=50万円となります。

所得50万円は非課税基準の範囲内ではないので住民税は課税されます。

計算する所得の違いから所得税が0円で住民税が課税されるケースが出てきます。

まとめ

所得税については所得が高くても、それ以上に控除が高ければ0円になります。

しかし、住民税が0円(非課税)になるには、一定の所得以下になる必要があるため、所得が高ければ非課税になりにくい制度になっています。

所得税が0円だったからといって、住民税も0円になるとは思わずに、住民税の非課税の基準を確認してみてください。

スポンサーリンク
住民税
スポンサーリンク
とらまねをフォローする

コメント