「社会保険料が税金の控除になるのは知っているけど、何が社会保険料控除になるの?」
「社会保険料控除を受けるにはどうやって申告をするの?必要な書類はあるの?」
社会保険料控除は、実際に支払った社会保険が所得から控除することのできるものです。
年間で支払う社会保険料は思った以上に高額ですので、控除を入れ忘れると税金が高くなってしまいます。
この記事では、社会保険料の対象となるものや申告の方法について丁寧に解説していきます。
社会保険料控除とは
ご自身で支払った社会保険料が、所得税及び住民税の所得控除の対象となります。
控除できる金額としては、実際に支払った金額が全額控除されます。
社会保険料控除の対象になる社会保険料の種類について
社会保険料控除の対象になる社会保険料の種類及び申告に使用する書類は以下のとおりです。
国民年金保険料
国民年金とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。
申告に使うもの
日本年金機構より「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が毎年10月下旬頃に送られてきます。
※10月以降に、初めてその年の国民年金保険料を納付した方は、翌年の2月上旬に送られてきます。
厚生年金保険料
厚生年金とは、会社員、公務員、一定の条件を満たしたパートなどが加入する公的年金制度です。
厚生年金保険料は会社側で半分負担してくれるもので、国民年金と2階建てになり、将来受け取る年金の受給額が手厚くなります。
申告に使うもの
給与からの天引きによって支払うものなので、「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
国民健康保険料(税)
会社等で加入する健康保険や後期高齢者医療制度などに加入していないすべての方が対象となる公的医療保険制度です。
自営業者の方や無職で健康保険の被扶養者ではない方が加入することが多いです。
申告に使うもの
・支払った際の領収書
・市区町村から送られてくる納付額通知書(お住いの市区町村によっては、送られてこない場合もあります)
・年金から天引きされている人は、年金の「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
後期高齢者医療保険料
75歳になるとすべての方が後期高齢者医療保険に加入することになります。
申告に使うもの
・支払った際の領収書
・市区町村から送られてくる納付額通知書(お住いの市区町村によっては、送られてこない場合もあります)
・年金から天引きされている人は、年金の「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
介護保険料
40歳以上のすべての健康保険加入者が必ず加入することになります。
申告に使うもの
・給与からの天引きによって支払っている場合(健康保険と一緒に引かれます)、「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
・支払った際の領収書
・市区町村から送られてくる納付額通知書(お住いの市区町村によっては、送られてこない場合もあります)
・年金から天引きされている人は、年金の「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
労働保険料
労災保険料と雇用保険料のことで、本人負担分については控除の対象になります。
申告に使うもの
給与からの天引きによって支払うものなので、「源泉徴収票の社会保険料」に金額が記載されます。
国民年金基金
自営業やフリーランスの方などが加入することができ、国民年金を上乗せすることができます。
申告に使うもの
「社会保険料控除証明書」が毎年10月下旬~11月下旬頃に送られてきます。
申告の方法について
給与から天引きされているもの、年金から天引きされているものについては、源泉徴収票に記載されていますので、申告をしている状態になっています。
しかし、納付書で支払ったものや口座振替により支払ったものは申告をしないと、税金の控除になりません。
上記の「社会保険料控除の対象になる社会保険料の種類について」の「申告に使うもの」を確定申告で申告をすることで社会保険料控除として控除されます。
記載方法について
確定申告書第二表の「保険料控除等に関する事項」の「社会保険料控除」に支払った社会保険料を記載します。
「保険料等の種類」には、国民健康保険や介護保険料などの名称を記載しますが、源泉徴収票に記載されている社会保険料は「源泉徴収分」と記載します。
「支払保険料等の計」には、支払った金額を記載します。「保険料等の種類」で「源泉徴収分」を記載した場合は、記載の必要はありません。
「うち年末調整等以外」には、「支払保険料等の計」に記載した金額のうち、給与・年金の源泉徴収票に記載されていない金額を記載します。
次に確定申告書第一表の「社会保険料控除」欄に、確定申告書第二表に記載した社会保険料控除の合計額を記載します。
申告の際に忘れがちな社会保険料控除
確定申告書の受付を行っている経験上、申告に入れ忘れることの多い社会保険料を紹介します。
任意継続
会社を辞めた時に、会社で加入していた保険を2年間継続できる「任意継続」も社会保険料控除の対象です。
この任意継続で社会保険料を支払っている方は、退職して初めて確定申告を行うことが多いため、申告に入れ忘れることが多いです。
任意継続は、会社の折半がなくなるため支払額が大きいので、申告の際は領収書や納付証明書などを持参して、忘れずに控除に入れるようにしましょう。
家族の社会保険料
生計を一にしている家族の社会保険料を支払った場合、控除の対象となります。
・子どもが学生なので、国民年金保険料を支払っている
・妻の介護保険料を支払っている
※基本的に介護保険料は年金からの天引きになりますが、初めは納付書か口座払いからスタートし、準備が整い次第、年金の天引きに移行します。
介護保険・国民健康保険・後期高齢者医療保険の家族の年金特徴分は対象外です。
年金特徴とは、年金からの天引きのことをいいますが、年金から天引きをされているということは、その方が支払っているということになりますので、本人以外の家族が申告で控除に入れることはできません。
まとめ
社会保険料控除は多くの方が支払っており、金額も大きいものです。
支払った金額のすべてが所得控除となり、税金の負担もかなり軽減できますので、申告に入れないと損をしてしまいます。
特に、申告に忘れがちな社会保険料に注意して、控除を受けましょう。
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