「社会人1年目では住民税はかからなかったけど、2年目から住民税がかかるって本当?いつから、いくらかかるの?」
「社会人3年目に住民税が想定以上に上がったのはなぜ?」
社会人1年目は住民税がかからず、2年目から住民税を初めて支払い、3年目には2年目より高い住民税を支払うといった状況になる方が多いのが実情です。
この記事では、住民税が高くなっていく仕組みをわかりやすく解説していきます。
社会人2年目から住民税がかかる理由
住民税は前年の1月1日~12月31日までに得た収入に基づいて課税されるものです。
社会人1年目の場合、前年の収入がないことが多いため、働き始めた年に住民税が課税されないこと多いです。
社会人2年目の場合、前年の収入(社会人1年目の収入)がありますので、その収入をもとに住民税が計算されるため、社会人2年目で初めて住民税を納めることになります。
住民税を納める時期と税額
住民税を納める時期について
会社勤めの方の住民税の納め方は、基本的には給与からの天引きです。
給与からの天引きについては、その年度の住民税は6月の給与から翌年の5月まで天引きされます。
つまり、前年の1月1日~12月31日までに得た収入に対する住民税は、6月~5月の給与から天引きされ、納めることになります。
住民税の税額について
住民税の税額のおおまか計算は次のステップで行います。
2.所得控除を算出する
3.所得から所得控除を引いて課税所得金額を算出する
4.課税所得金額に税率10%を乗じ、所得割を算出する
5.所得割から税額控除を差し引く
6.「5.」に均等割5,000円を加算する
1.年間の収入から所得を算出する
給与収入の場合、下表の計算式に当てはめて所得を算出します。
給与収入額(A) | 給与所得控除後の金額 (所得) | 備考 | ||
1 | ~ | 550,999 | 0 | 左記の数値が所得 |
551,000 | ~ | 1,618,999 | (A)-550,000 | |
1,619,000 | ~ | 1,619,999 | 1,069,000 | 左記の数値が所得 |
1,620,000 | ~ | 1,621,999 | 1,070,000 | 左記の数値が所得 |
1,622,000 | ~ | 1,623,999 | 1,072,000 | 左記の数値が所得 |
1,624,000 | ~ | 1,627,999 | 1,074,000 | 左記の数値が所得 |
1,628,000 | ~ | 1,799,999 | (A’)×0.6+100,000 | (A’)=(A)÷4(千円未満切り捨て)×4 |
1,800,000 | ~ | 3,599,999 | (A’)×0.7-80,000 | (A’)=(A)÷4(千円未満切り捨て)×4 |
3,600,000 | ~ | 6,599,999 | (A’)×0.8-440,000 | (A’)=(A)÷4(千円未満切り捨て)×4 |
6,600,000 | ~ | 8,499,999 | (A)×0.9-1,100,000 | 1円未満の端数は切り捨て |
8,500,000 | ~ | (A)-1,950,000 |
※詳しい所得の算出方法が知りたい方は「収入と所得の違い 5つの所得の計算方法について」の記事をご覧ください。
2.所得控除を算出する
所得控除は所得から差し引くことのできる控除で、社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除、基礎控除など様々な種類があります。
これらの控除をすべて合計します。
3.課税所得金額を算出する
所得から所得控除額を差し引いたものが課税所得金額(千円未満切り捨て)になります。
4.所得割を算出する
課税所得金額に住民税の税率10%を乗じた金額が所得割になります。
5.税額控除を算出する
税額控除は税額(所得割)から差し引くことのできる控除で、調整控除や寄附金控除、住宅ローン控除などがあります。
寄附金住宅ローンなど、何かしらの控除になることをしていない場合、通常は調整控除のみ受けられます。
※調整控除の詳しい計算方法については「住民税の調整控除とは?計算方法を解説!」の記事をご覧ください。
6.住民税の税額を算出する
最後に所得割から税額控除を差し引き、均等割の5,000円を加算したら住民税の税額となります。
数字を入れて計算を確認しましょう!
・年収250万円
・社会保険料35万円
※社会人1年目の収入を想定し、9ヶ月間の収入で控除は天引きされる健康保険のみ
1.給与収入額から所得を算出
250万円×0.7+8万円=1,830,000円
2.所得控除を算出
社会保険料35万円+基礎控除43万円=780,000円
3.課税所得金額を算出
所得1,830,000-所得控除780,000円=1,050,000円
4.所得割を算出
課税所得金額1,050,000円×税率10%=105,000円
5.税額控除を算出
調整控除2,500円
6.住民税の税額を算出
所得割105,000-調整控除2,500+均等割5,000円=107,500円
年間の住民税の額が107,500円という結果になりました。
この税額が社会人2年目の6月から天引きされた場合は、
6月は9,600円天引きされ、7月~5月はそれぞれ8,900円の天引きになります。
1年目に引かれていなかった分、より金額が多く感じ、実際の給与明細を見たらこれだけの税額が引かれるので手取り金額が思ったより少なく感じますよね…。
社会人3年目で住民税が上がる理由
社会人3年目では2年目よりも住民税が上がります。
給与が上がっているから税金も上がるのは当然だと思っていると、給与が上がった分以上に住民税は上がることになりますので注意してください。
社会人3年目は給与が上がっている分、住民税が上がるのは当然として・・・、
それに加え、社会人2年目は1年目より住民税が上がる要素があります。
それは、住民税が前年の収入から計算されるものだからです。
具体的には、社会人3年目は1月~12月までの収入で住民税が計算されていますが、
社会人2年目は4月~12月(1月~3月はまだ働いていない)までの収入で住民税が計算されているからです。
月数として3ヶ月の違い(ボーナスの月数算定の違いも考えられます。)が住民税が思ったより上がる要素になります。
社会人3年目の住民税の税額について
・年収330万円
・社会保険料45万円
1.給与収入額から所得を算出
330万円×0.7+8万円=2,230,000円
2.所得控除を算出
社会保険料45万円+基礎控除43万円=880,000円
3.課税所得金額を算出
所得2,230,000-所得控除880,000円=1,350,000円
4.所得割を算出
課税所得金額1,350,000円×税率10%=135,000円
5.税額控除を算出
調整控除2,500円
6.住民税の税額を算出
所得割135,000-調整控除2,500+均等割5,000円=137,500円
年間の住民税の額が137,500円という結果になりました。
昇給した分の10%ぐらいが高くなると考えていたら、思っていたより高く感じると思います。
給与から天引きされる額は、
6月は12,100円天引きされ、7月~5月はそれぞれ11,400円の天引きになります。
まとめ
社会人2年目から住民税が初めて課税され、金額の高さから思った以上に手取りが減ると感じてしまいます。
さらに、社会人3年目も想定より高い住民税が引かれると感じる方が多くいます。
「手取りが減って支払いが困る」とならないよう住民税の税額が上がることを加味して、住民税の支払いに備えましょう!
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