給与所得者は所得税の申告を行う際には年末調整を行いますが、年末調整では申告できない収入や控除があるのはご存じでしょうか?
年末調整で申告できないものは意外と種類があり、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税を含む)などもその一つであり、「年末調整でやろうと思っていたのに~」といったものもあるかもしれませんので、年末調整で申告できないものについて、事前に確認をしておきましょう。
年末調整で申告できない収入
年末調整では申告できない収入は以下のとおりです。
営業収入
主に個人事業主が得る収入です。
農業収入
農業を営んでいる人が得る収入です。
なお、農業を営んでいる人から給与を貰っている農業従事者の人は給与収入となります。
不動産収入
家や土地、アパートなどの不動産を貸し付けて得る収入です。
※給与収入を得ている方でも副業として収入を得ている方も多いです。
配当収入
株式などを保有している際に受け取れる配当です。
※特定口座内で源泉徴収されている場合は申告をしなくても問題ありません。
公的年金収入
公的年金収入は一般的に65歳以上になると受け取れる年金です。
基本的には、国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法、確定給付企業年金法などに基づく年金です。
現在は、65歳以上でも働く方が多く、給与収入と年金収入がある方が多くいますが、年末調整では申告できません。年末調整で申告ができないからといって、そのまま放置しないようにしましょう。
譲渡収入
譲渡収入は、土地や建物、株式などの資産を譲渡することによって得る収入です。
一時収入
一時収入は、生命保険会社からの一時金、競馬や競輪の払戻金、懸賞や福引の賞金などによって得る収入です。
山林収入
山林収入は、山林を伐採して譲渡することや、立木のまま譲渡することによって得る収入です。
ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、事業収入または雑収入になります。
退職収入
退職収入は、退職によりお勤め先から受け取る退職手当などをいいます。
また、社会保険制度などにより退職すること支給される一時金、確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金などとして得る収入も退職収入となります。
※退職収入は、基本的には収入を得る時に所得税と住民税の計算がされるので申告は不要です。
年末調整で申告できない控除
年末調整で申告できない控除は以下のとおりです。
医療費控除
医療費控除は、本人や生計を一にする親族のために支払った医療費が控除として認められるものです。
その年の医療費の支払いの合計が10万円を超える、または、所得(所得200万円以下の場合)の5%を超えた場合に適用されます。
寄附金控除
寄附金控除は、国や地方公共団体などへの寄附、政治活動に関する寄附、認定NPO法人等や公益社団法人等に対する寄附などで、寄附金を支払った際に受けられる控除です。
もちろん、ふるさと納税も寄附金控除の対象です。
ふるさと納税を行っている方が多くいますが、寄附金控除は年末調整では控除できないので注意しましょう。
なお、ワンストップ特例を申請している方は申告の必要なく控除を受けることが可能です。
住宅ローン控除(1年目)
住宅ローン等を利用して、マイホームの新築や増改築をした際に受けることのできる控除です。
この住宅ローン控除を受ける際には、1年目は必ず確定申告を行う必要があります。なお、2年目以降は年末調整によって控除を受けることが可能になります。
雑損控除
雑損控除は、震災、風水害などの自然現象による災害や火災による災害、盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に受けられる控除です。
※詐欺や恐喝の場合の被害については、雑損控除の適用は受けられません。
年末調整で申告できない収入や控除の申告方法
今回、列挙した年末調整で申告できない収入や控除については、すべて、確定申告により申告を行うことになります。
年末調整後に源泉徴収票が渡されますので、この源泉徴収票と必要な書類を用意し、確定申告を行いましょう。
なお、確定申告期間は、通常、2月16日~3月15日までの間です(還付申告は年明けから申告可能です)。
まとめ
年末調整で申告のできない収入は多々ありますが、基本的には確定申告を行わなければなりません。
年末調整で申告できないからしなくていいとはならないので注意しましょう。
また、年末調整で控除を入れられないものについては、確定申告を行わなければ控除として認められません。
所得税だけではなく住民税の税額にも影響がでてきますので、控除を受けられるものは忘れずに確定申告を行いましょう。
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