「未成年者の年齢が20歳から18歳になることによって、住民税では何か影響があるの?」
とお考えの方や、
「未成年者の非課税の範囲の年齢はどうなるの?」とお考えの方がいると思います。
未成年者の年齢の変更に伴い、住民税では、令和5年度から未成年者の取り扱いが「20歳」から「18歳」に変更となります。
つまり、未成年者の非課税の範囲の年齢は、18歳に変更となりました。
この取り扱いの詳細や取り扱いが変わったことによって影響を受ける方について、詳しく解説します。
未成年者の年齢引き下げに伴う住民税の変更点
民法の改正により令和4年4月1日から成年の年齢が20歳が18歳に変更となりました。
この変更に伴い、住民税の計算上で影響が出てくることがありますので、確認しておきましょう。
未成年者は所得が135万円以下なら非課税
住民税では、未成年者が合計所得135万円以下であれば非課税となります。
この未成年者の範囲が未成年者の年齢引き下げによって変更となります。
具体的な対象年齢の変更状況は下表のとおりです。
令和4年度まで | 令和5年度から |
20歳未満 ※令和4年度:平成14年1月3日以降に生まれた方 |
18歳未満 ※令和5年度:平成17年1月3日以降に生まれた方 |
令和5年度の住民税の計算上では、平成17年1月3日より前に生まれた方は未成年者とはなりません。
また、婚姻をすると18歳未満であっても未成年者とはならないことにも注意が必要です。
婚姻して離別した場合でも、婚姻歴がありますので、再び未成年者に戻ることはありません。
135万円は収入ではなく所得です。
給与収入の方であれば、給与収入が204万4千円未満が所得135万円以下となります。
収入と所得の違いについて詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
未成年者の年齢引き下げに伴って影響を受ける方
未成年者の年齢が20歳から18歳になることによって影響を受ける方は、18歳と19歳の方になります。
今までは、18歳と19歳の方は所得135万円以下の所得であれば課税されなかったのに、令和5年度からは課税される場合があるということです。
具体的な例で確認していきましょう。
【事例1】
令和4年度18歳で給与収入200万円、令和5年度19歳で給与収入200万円の場合
給与収入200万円は所得にすると132万円です。
令和4年度は未成年者に該当するので、住民税は非課税ですが、令和5年度は未成年者にならないため住民税が課税されてしまいます。
課税される住民税を簡単に計算してみると・・・
所得132万円-社保30万円-基礎控除43万円=課標59万円
課標59万円×税率10%=59,000円
59,000円-調整控除2,500円+均等割5,000円=住民税61,500円
住民税は61,500円となりました。
事例1では、令和4年度は住民税が0円だったのに、令和5年度は61,500円となり、急に負担が大きくなってしまいました。
【事例2】
令和4年度17歳で給与収入200万円、令和5年度18歳で給与収入150万円の場合
給与収入200万円は所得にすると132万円、給与収入150万円は所得にすると95万円です。
令和4年度は未成年者に該当するので、住民税は非課税ですが、令和5年度は未成年者にならないため住民税が課税されてしまします。
課税される住民税を簡単に計算してみると・・・
所得95万円-社保20万円-基礎控除43万円=課標32万円
課標32万円×税率10%=32,000円
32,000円-調整控除2,500円+均等割5,000円=住民税34,500円
住民税は34,500円となりました。
事例2では、収入が減ったのに住民税が課税されてしまうパターンです。
いくら収入が減ったとしても、非課税の範囲ではないので課税はされてしまうということです。
会社にお勤めの方は、毎年5月頃に会社から住民税の決定通知書が渡されます(市区町村が会社へ通知し、会社が本人に渡します)。
通知を渡されたときに、「給与収入が変わってないのに住民税がかかってきたのはなぜだろう?」と思われた方はこの未成年者の年齢引き下げの影響を受けている方かもしれません。
まとめ
未成年者の年齢引き下げに伴って、今まで住民税を払わなくてもよかった方が、住民税を支払わなければならない人が出てきます。
会社でお勤めの方は給与からの天引きによって住民税を納めることになるので、単純に手取りが減ってしまいます。
未成年者の年齢引き下げの対象者は、手取りが減って困らないように、事前に対策を取っておきましょう。
なお、給与の天引きが始まるのは6月の給与からで、給与からの天引きにならない場合は、6月頃に市区町村から直接納税通知書(納付書)が送られてきて、4回に分けての支払いになります。
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