「市区町村から未申告だから申告するよう手紙が来たけど、どうしたらいいの?」
この未申告調査が来る方は、市区町村で収入の状況が把握できていない方です。
そもそも、収入がないという方もいますし、サラリーマンで給与収入がある方に来る場合もありますが、それぞれ放っておくと、よくない場合があります。
この記事では、未申告調査の対象となった理由と申告しないことによるデメリットについて解説します。
未申告調査の対象となった理由
市区町村により、未申告調査を送る基準は異なりますが、間違いなく言えることは、市区町村では、収入の状況を把握していないため、未申告状態となっており未申告調査の対象であるということです。
なお、住民税は翌年度課税のため、未申告である収入は前年分のものであることに注意が必要です。
未申告の状態になっている状態の具体例を3パターン解説します。
1.収入がない
収入が全くない場合で、申告をしていない場合は未申告の状態となります。
しかし、この状態の方のすべてが未申告調査の対象になるわけではありません。
対象になるかならないかは、市区町村の独自基準となりますが、例えば、誰かに扶養されている(被扶養者)場合は未申告調査の対象からは外されることが多いです。
逆に考えると、扶養に入っていると思っていたら入ってなかったということにもなります。
2.給与・年金収入がある
「収入があるのに未申告って矛盾してる?」と思われた方は、まさにそのとおりです。
しかし、収入があるのに未申告の状態になっている方は実際に何人もいます。
給与収入があるのに未申告になっている
給与収入があるのに未申告になっているパターンは2パターンあります。
会社が市区町村に給与支払報告書を提出していない
給与支払報告書とは、みなさんが会社からもらう「源泉徴収票」とほぼ同様の様式のもので、会社は1月末までに市区町村に提出する義務があります。
しかし、給与支払報告書の提出を怠っている場合、市区町村は収入の把握ができず、未申告状態になります。
払うべき住民税を払っていない状態ですので、早急に申告することをお勧めします。
申告の方法は後述しています。
会社が別の市区町村に給与支払報告書を提出している
住民税は、基本的には住民票がある市区町村で課税されます(実際に住んでいるところで課税することもあります)。
全く関係ない市区町村に給与支払報告書を提出してしまうと、その市区町村で課税するか、課税保留の状態になります。
関係のない市区町村が、住民票のある市区町村がわかれば転送処理などを行うことで、正しい市区町村で課税することができます。
しかし、転送先がわからい場合は、住民票のある市区町村では、未申告状態となりますので、結果、未申告調査の対象となります。
年金収入があるのに未申告になっている
年金収入があるのに未申告になっている場合は、「公的年金等支払報告書」が他の市区町村に送られている可能性があります。
公的年金等支払報告書とは、みなさんが日本年金機構等からもらう「源泉徴収票」とほぼ同様の様式のもので、日本年金機構等は1月末までに市区町村に提出する義務があります。
3.収入があるが申告をしていない
収入があるのに申告をしていない場合も、未申告調査の対象となります。
「忙しくてまだ申告をしていない」、「申告が必要と思っていなくて申告をしていなかった」「申告の仕方がわからず放置していた」など理由は様々あると思います。
しかし、申告をしないことによるデメリットを忘れてはいけません。
次に申告しないことによるデメリットを3点解説します。
1.延滞税が発生する
申告をしていないということは、所得税や住民税を支払っていないということになります。
所得税の申告は毎年3月15日までが申告期限であり、納付期限です。
これを過ぎてしまうと延滞税が計算され、支払う日が遅くなればなるほど、払う金額が多くなってしまいます。
また、場合によっては「無申告加算税」も発生し、さらに納付額が増えることがありますので、申告を怠っている方は一刻も早く申告を行うべきです。
2.国民健康保険料(税)が高くなる
そこまで収入が高くない方が未申告の状態であれば、国民健康保険料(税)が高くなる可能性があります。
国民健康保険料(税)は、低所得世帯に対する軽減措置がありますが、未申告の場合、この軽減措置がない状態で課税されます。
そのため、申告した方が国民健康保険料(税)が安くなることがあります。
高額療養費制度の限度額が高くなる!?
未申告の状態であれば、所得に応じて決まる高額療養費の限度額の計算ができないため、暫定的に一番高い限度額に設定されます。
入院等の医療費が多額にかかる治療の場合、負担額が高くなりますので注意しましょう。
申告をすれば正しい限度額に反映されます。
3.所得証明書・課税証明書が発行できない
未申告の状態であれば、市区町村で発行できる「所得証明書や課税証明書」は発行できません。
使用する用途は限定されますが、いざ、必要となったときに発行できなくては困ることもありますので注意しましょう。
申告の方法
未申告の状態を解消するためにはどう申告したらいいのかをここから解説します。
無収入の方
住民税申告を市区町村に提出しましょう。
氏名や住所、マイナンバーなどの情報を記載するだけで、ほぼ完成です。
残りは市区町村の様式によって違いがありますが、「無収入の箇所に✅」をすることや「収入や所得に0」を記入することで、申告書が完成します。
なお、無収入の場合、電話のみで申告ができる市区町村がありますので、事前に申告方法を確認することが、お勧めです。
給与・年金の収入の方
給与・年金収入の方は、本来、事業所から市区町村へ報告することで申告が済むものです。
しかし、未申告の状態ということは、事業所からの報告がうまくできていないということです。
この状態での申告方法は2パターンあります。
事業所から市区町村に報告してもらう
給与支払報告書・公的年金等支払報告書を事業所から市区町村に提出するよう促します。
何らかの理由で報告がされていないものなので、未申告調査が来たことを伝え、早急に市区町村へ提出してもらうようにしましょう。
事業所が送った市区町村が誤っていることが多いです。
自分で確定申告や住民税申告を行う
源泉徴収票が自分の手元にある場合は、自ら申告を行うことができます。
給与収入の方は
会社で年末調整を行っていれば所得税の精算が終わっているため住民税申告を行うこととなります。
年末調整が終わっていない場合、所得税の精算が必要なため、確定申告を行うこととなります。
年金収入の方は
「公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」の場合、所得税の確定申告をする必要はありません。
しかし、申告した結果、還付金が発生する場合は確定申告をした方がお得ですので、還付金が発生する場合のみ確定申告を行います。
それ以外の場合は住民税申告を行います。
収入があるが申告していない
個人事業主など自ら申告をしなければいけない方については、所得税が発生する場合や赤字の申告をする場合は、確定申告を行います。
所得税に全く影響がない場合は住民税申告を行うことになります。
確定申告をしたことがなく、作成方法がわからない場合は税務署に確認することでやり方を教えてもらいましょう。
経費の申告や帳簿の作成まで自分でできない場合は、税理士にお願いするなどして、申告を行いましょう。
まとめ
住民税の未申告調査が来るということは、あまりいい状態ではないといえます。
未申告調査が来ないようにできる方は、事前に手を打っておき、自分の関係ないところの不備で未申告調査が来た場合は、原因を把握し、すぐに対処するようにしましょう。
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