毎年の税制改正によって年末調整のルールが変わることについて、ちょっとウンザリしていませんか?
2023年の年末調整では、3つの変更点を押さえておけば大丈夫ですので、この3つの変更点を詳しく解説します。
住宅ローン控除の控除率と適用期間
住宅ローン控除は令和4年に入居をした方から控除額と適用期間が変更になっています。
年末調整では、この変更が影響してくるのが令和5年分からとなります。
住宅ローン控除は、1年目は必ず確定申告が必要となり、2年目以降から年末調整での控除が可能となるため、年末調整で考えると令和5年分からの変更となります。
一般的の住宅であれば、控除率が1%から0.7%に変更、控除期間が10年から13年に変更になりました。
なお、中古住宅の場合は10年のままです。
変更となるのはあくまでも令和4年に入居をした方となりますので、それより前に入居し、住宅ローン控除を受けている方はこれまでのどおりの控除率と控除期間になります。
お勤め先の経理や人事の担当者は、違う控除率や控除期間が混在しますのでややこしくなりますので、しっかり整理する必要があります。
住宅ローン控除の詳しい改正点については下記の記事をご覧ください。
「【令和4年入居~】住宅ローン控除の変更点について!変更の影響は!?」
非居住者である扶養親族の扶養控除の適用要件の変更
30歳~70歳未満の非居住扶養親族についての扶養控除の要件に変更があり、次のいずれにも該当しない場合、扶養控除が受けられなくなります。
※非居住扶養親族:国内に住所がない扶養親族
②障害者
③扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において、生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者
②親族関係書類、送金関係書類
③親族関係書類、38万円送金書類
16歳~30歳未満、70歳以上の必要書類は、親族関係書類と送金関係書類です。
なお、これらの書類が外国語で作成されている場合には、和訳分も必要となります。
扶養控除申告書の変更点
令和5年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書から「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄と「寡婦又はひとり親」欄が追加されています。
追加箇所は以下の赤枠部分のとおりです。
【退職手当等を有する配偶者・扶養親族が新設された理由】
配偶者控除や扶養控除を受ける場合に所得の要件があります。この要件に退職手当が関係してきます。
具体的には、所得税は退職手当を含めて配偶者控除・扶養控除を判定します。
しかし、住民税は退職手当を含めないで配偶者控除・扶養控除を判定します。
つまり、所得税では、扶養にできないけど、住民税では扶養にできる方が出てくるということです。
制度自体はこれまでと変わってませんが、住民税での計算を適正に行うために新設されました。
【寡婦又はひとり親】
寡婦又はひとり親は所得税でも住民税でも控除がありましたが、住民税で控除が適用されていないケースが散見されたことによりチェック項目が追加されました。
制度自体はこれまでと変わってませんが、住民税での計算を適正に行うために新設されました。
まとめ
2023年分(令和5年分)の年末調整の押さえておくべき変更点は主に3点ですが、特に影響が大きいのは住宅ローン控除の変更点です。
住宅ローン控除を受ける人は多いので、特に控除率が変更になっている点について注意が必要です。
年末調整で住宅ローン控除を受ける場合は、税務署から送付された計算書に記載して控除額を算出するので、計算書の内容を見れば控除率の記載があるので間違えることはありませんのでしっかり確認しましょう。
また、お勤め先の経理や人事の担当者も注意が必要です。
計算書を作成するのが慣れているので、これまでと同じ控除率を使ってしまうことや1%と0.7%の方が混在することで間違う可能性が高くなります。
間違った場合の影響額は大きいので、細心の注意が必要です。
また、従業員の方もご自身の税金のことなので内容を理解し、お勤め先の計算が誤ってないかチェックすることが大事になります。
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