確定申告は、毎年制度改正があり、取り扱いが変わったり、様式が変更されたりします。
この記事では、令和4年分(2022年分)の確定申告から改正があり、変更になった以下の3つの改正点についてわかりやすく解説します。
1.確定申告書の様式改正
2.収支内訳書の様式改正
3.住宅ローン控除の改正
確定申告の様式の改正箇所について
令和4年分からの確定申告では、確定申告書と収支内訳書(一般用)の様式の改正がありました。
確定申告書の様式改正について
確定申告書の様式改正は主に2点あります。
確定申告書Aの廃止
令和4年分の確定申告から「確定申告書A」の様式は廃止されます。
これまであった「確定申告書B」に一本化されます。なお、確定申告書の名前は、AやBという表記はなくなり、「確定申告書」となります。
e-Taxで確定申告書を作成していた方は、元々確定申告書Bで作成しているので特に影響はないかと思います。
しかし、これまで確定申告書Aで確定申告書を作成していた方にとっては、少し戸惑うことがあるかもしれません。
ただ、確定申告書AとBの違いは、所得の種類が増えていることが主な違いですので、これまで確定申告書Aで使用してきた箇所はそのまま残っていますので、よく確認すれば問題なく作成できるはずです。
様式の統一化は、デジタル社会への対応や不要な紙の削減、確定申告書の作成者の戸惑い(AとBどっちを使ったらいいの?)など観点からみてもいい改正だと思います。
確定申告をするのに慣れていない方は、自分はAの申告書なのかBの申告書なのかを悩んでいる方がいましたが、今後はこの悩みは無くなりますので、一つのメリットになります。
初めは戸惑いますが徐々に慣れていくと思います。
確定申告書第一表に修正申告欄が追加
これまで、修正申告を行う場合は、「第一表」と「第五表(別表)」の提出が必要でした。
しかし、第一表に修正申告の欄が追加されたことにより、「修正申告書(別表)第五表」は廃止されることになったため、この第五表の提出は不要となりました。
【修正申告とは】
一度提出した確定申告書に誤りを発見し、再計算した結果、追徴(所得税が増える)になる場合に行う申告のことです。
なお、その年の確定申告期間内に申告をやり直す場合は「訂正申告」となります。
また、反対に、一度提出した確定申告書に誤りを発見し、再計算した結果、所得税が減額になる場合は、「更正の請求」といいます。
収支内訳書(一般)の様式改正について
赤枠部分が改正箇所です。
「営業等」又は「雑(業務)」のいずれかを選択し、「〇」を記載します。
これまで、収支内訳書(一般)を使用していた方は、「営業等」に「〇」を付けるだけで、それ以外に変更はありません。
雑(業務)に「〇」を付けるのは次の場合です。
雑(業務)に該当している場合で、「前々年の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書(一般)の提出が必要となりました。
前々年の売上高が1,000万円を超えていた場合には、忘れずに収支内訳書(一般)を作成しましょう。
住宅ローン控除の改正について
令和4年分の確定申告からの主な改正点を3点解説します。
適用期間の延長
住宅ローン控除の適用期限を4年間延長し、令和7年(2025年)12月31日までに入居した人が対象となります。
住宅ローン控除は、ずっとあるように思われる控除ですが、その控除期間は数年で終わるように設定されています。
しかし、期間が終わるごとに延長しながら改正されてきているもので、入居するタイミングによって受けられる控除が変わってきますので、常に内容の把握が必要な控除の一つです。
控除率の変更
これまで1%だった控除率が0.7%に変更されました。
1%の控除率を考えていたら、思ったより還付金が少ない!?となってしまいますので、頭に入れておきましょう。
【控除率が下がった理由】
住宅ローン控除の金利が低いことにより、住宅ローンの利息よりも住宅ローン控除の節税効果の方が高くなるといった、いわゆる「逆ザヤ」が発生している状況を是正するため変更されました。
所得制限の変更
これまでの3,000万円から2,000万円に変更となりました。
その年の所得が2,000万円を超えた場合には住宅ローン控除を受けることはできなくなりました。
所得が2,000万円を超えていない方は関係のない改正です。
まとめ
税制は、世の中の情勢や政治状況によって変化をしていきます。
毎年、税制改正が行われ、数年先までの制度改正が行われています。
常に、制度の内容をアップデートし、対応していかなければ確定申告書の提出もままならなくなってしまい、損をしてしまうことがあります。
逆に、制度を把握しておけば得することがありますので、制度の合わせた申告をしましょう。
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