死亡退職者の年末調整のやり方や注意点について【事業所向け】

基礎知識
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「従業員が亡くなったけど、初めてのことでなにをしたらいいのかわからない?」

「年末調整が必要って聞いたけど、年の途中で行うの?」

従業員が亡くなることは、そうそうあることではないので、手続きに不安があっても仕方がありません。

死亡退職の場合、年末調整が必ず必要となりますので、この記事では、年末調整のやり方や注意点について、初めての方でもわかりやすく解説します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・年末調整のやり方
・どこまでの給与を年末調整に含めるのか
・年末調整の計算に当たっての注意点
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亡くなった方の年末調整について

通常、年末調整はその名のとおり、年末に行うもので、その年(1月1日~12月31日)の所得等を基に、所得税の精算をすることをいいます。

毎月の給与から所得税を天引きしていますが、これは見込みで引いているため、年末に給与の支給額が確定し、控除関係も確定することから、正確な所得税が算出できます。

天引きしていた所得税より、最終的に計算した所得税の方が多かった場合、最後の給与から多かった分の所得税を天引きします。

一方、天引きしていた所得税より、最終的に計算した所得税の方が少なかった場合、最後の給与の支払いで、従業員に返す(還付)こととなります。

死亡した場合も同様に年末調整が必要となりますが、年末に行うのではなく、死亡した時点で年末調整を行います

どこまでの給与を年末調整に含めるのか

死亡前に支給した給与

死亡した前までに支給した給与は年末調整に含めて計算します

既に払っているものなので当然といえば当然です。

死亡後に支給する給与

死亡後に支給する給与は年末調整に含めません

死亡後に支給する給与は、相続人に支払うこととなり、相続税の対象となるため年末調整に含みません。

・給与の締め日:9月15日
・給与の支給日:9月25日
・亡くなった日:9月20日

この場合は、年末調整に含むか含まないかどちらでしょう?

正解は、「年末調整に含まない」です。

あくまでも給与の支給日で判断するため、年末調整の対象にはなりません。

・給与の締め日:9月15日
・給与の支給日:9月25日
・亡くなった日:9月30日

この場合で、本来9月25日に支払う給与が何らかの事情で遅れ、10月以降に支払った場合はどうなるでしょう?

この場合は、本来の支給日に支払ったものとして扱うため、「年末調整に含む」ことになります。

退職金

退職金については、本来、退職金の支払いの際に、所得税及び住民税を天引きし、「退職所得の源泉徴収票」を交付しますので、年末調整とは別の計算になります。

なお、死亡した場合の退職金は相続人に支払うため、相続税の対象となります。

死亡した後に退職金を支払うわけですから、亡くなった従業員に支払うものではないので、源泉徴収は行いません

年末調整の計算に当たっての注意点

亡くなった方の年末調整の計算方法は通常の年末調整と同じですが、いくつか注意点がありますのでご確認ください。

配偶者(特別)控除や扶養控除

配偶者(特別)控除や扶養控除は、亡くなった時点で扶養の可否を判断し、控除の対象にすることができます。

また、控除額は月割りではなく、通常の控除額を適用して計算します

社会保険料控除

亡くなった日までに支払った分が対象となります。

なお、社会保険の資格喪失日は亡くなった日の翌日となります。

【9月20日に亡くなった場合】

資格喪失日は9月21日になります。

社会保険料の支払いは、月末に加入していることでその月の保険料を支払うため、9月21日が資格喪失の場合、支払う保険料は8月分が最後となります。

生命保険料控除・地震保険料控除

社会保険料と同様に亡くなった日までに支払った分が対象となります。

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その他の注意点について

給与等の振込について

亡くなった後に支払う給与や退職金、年末調整の結果還付になった場合の還付金などは、亡くなった方の口座に振り込まないようにしましょう

通常、亡くなった方の口座は凍結され使えなくなります。
そのため、遺族の口座へ振り込むか、手渡しで現金を渡すようにしましょう。

源泉徴収票はなるべく早く遺族に交付する

亡くなった従業員の年末調整をすぐに行い、源泉徴収票をなるべく早く遺族に渡す必要があります。

遺族は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告をしなくてはなりません。

年末調整で所得税の精算がすべて終わっていれば問題ないですが、年末調整では含めることのできないほかの所得があったり、医療費控除などの控除を追加したりするために、遺族は確定申告(準確定申告)を行う可能性があります。

この準確定申告を行うには、源泉徴収票が必須ですので、できるだけ早く交付しましょう。

源泉徴収票の記載について

死亡退職の場合にのみ、印を付ける箇所がありますので、忘れずに印を付けましょう。

下画像の赤枠部分の「死亡退職」の箇所に「〇」を付けます。

そのほかの記載箇所は通常の年末調整と同様となります。

まとめ

従業員が亡くなることは滅多になく、初めて手続きを行う方や初めてじゃないけど、久しぶりでよく覚えていないという方が多いと思います。

年末調整の計算自体は年末に行うものと同じなので、どこまでの給与を年末調整に含めるのかと、計算に当たっての注意点を抑えれば出来るはずです。

あとは、できるだけ早く源泉徴収票を渡せれば何も問題はありません。

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