定額減税の金額は、扶養家族の人数によって決まります。
結婚した場合や子どもが産まれた場合、子どもが就職した場合などで扶養の状況は変わっていくものです。
そこで、「扶養家族はどの時点で判定するのか」、そして、扶養家族として認められる範囲が重要となってきます。
この記事では、扶養家族の判定時期と扶養家族の条件について、詳しく解説します。
定額減税の扶養判定はいつ時点なのか
定額減税は、扶養親族1人につき、所得税3万円と住民税1万円の減税がされるものです。
所得税と住民税の扶養の判定時期が異なるので、それぞれ解説します。
所得税の定額減税に係る扶養の判定時期
令和6年分の所得税に係る扶養の判定時期は令和6年12月31日時点となります。
所得税の定額減税に係る扶養の判定時期も同様に令和6年12月31日時点となります。
ここで気になるのが、定額減税は令和6年6月から実施される点です。
「定額減税の実施後に扶養の判定がされるのでは、扶養者は対象にならないのか」ということです。
定額減税の扶養は、最終的には令和6年12月31日時点の扶養の状況で判定しますが、実際は令和6年6月から実施するため、扶養の状況は見込みで判定することとなります。
見込の状況の把握は、所得税の支払方法によって異なります。
給与からの特別徴収(天引き)
給与からの特別徴収の場合、「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載した配偶者や扶養親族が対象となります。
なお、この給与所得者の扶養控除等申告書に扶養する者を入れ忘れた場合は、「令和6年分源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」に扶養親族を記載することで、定額減税を受けることができます。
なお、この申告書は令和6年6月1日以後最初に支払いを受ける給与や賞与の支払い日までに提出する必要があります。
事業所は、これらの申告書を確認して配偶者や扶養の人数を把握して定額減税を実施します。
申告書への記載を忘れた場合などは、確定申告で扶養等を入れることで定額減税を受けることができます。
年金からの特別徴収(天引き)
年金からの特別徴収の場合、「公的年金等の受給者の扶養等申告書」に記載した配偶者や扶養親族が対象となります。
公的年金等の受給者の扶養等申告書に記載し忘れた場合や、そもそもこの申告書が届いていない方は、確定申告で扶養等を入れることで定額減税を受けることができます。
確定申告で扶養を入れたとしても、所得税が0円の場合は、定額減税は受けれません。
このような方は、お住いの自治体から定額減税で引き切れなかった分として給付(調整給付)があります。
営業や事業所得者(個人事業主等)
予定納税がある方については、「予定納税の減額の承認の申請」により配偶者や扶養親族分の定額減税を受けることができます。
予定納税の減額申請は、通常7月15日までですが、令和6年に限り7月31日までが期限となります。
予定納税がない方は確定申告の際に扶養等を入れて申告書を作成します。
住民税の定額減税に係る扶養の判定時期
住民税の定額減税は、令和6年度の住民税で減税されることになります。
令和6年度の住民税というのは、令和5年中の収入や控除で算出されるものです。
所得税で言うと令和5年分が住民税の令和6年度課税分となります。
つまり、令和5年中の所得に基づく課税であるため、住民税の扶養の判定時期は令和5年12月31日時点となります。
定額減税の扶養の条件について
定額減税は、扶養の人数によって金額が増えていきます。
扶養として認められる条件を解説します。
配偶者の条件について
・納税者と生計が一である
・専従者給与を受給していない
・合計所得金額が48万円以下
※所得と収入は異なります。例えば、給与所得48万円は給与収入にすると103万円になります。
納税者の所得が1,000万円を超える場合、住民税の定額減税は令和7年度に実施されます。
納税者の所得が1,000万円以下の場合は、住民税の定額減税は令和6年度に実施されます。
※所得税はこのような要件はありません。
扶養の条件について
・納税者と生計が一である
・配偶者以外の6親等内の血族及び3親等内の姻族
・専従者給与を受給していない
・合計所得金額が48万円以下
※所得と収入は異なります。例えば、給与所得48万円は給与収入にすると103万円になります。
※年齢の要件はなく、16歳未満でも対象となります。
まとめ
所得税の定額減税に係る扶養等の判定時期は、令和6年12月31日時点となります。
しかし、12月31日は最終的な判定日であって、実際は見込みの扶養等で減税は行われます。
一方、住民税の定額減税に係る扶養等の判定時期は、令和5年12月31日時点となります。
住民税は翌年度課税という性質があるため、定額減税は令和6年度分で実施されます。
このことから、住民税の課税に使用する所得は令和5年中の所得であるため、所得税と扶養等の判定時期が異なります。
なお、扶養等として認められる条件は、税金の扶養等の条件と同様となります。
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