亡くなった人はいつまで税金の扶養に入れれる?実はもう一年対象になる!?

基礎知識
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今まで扶養にしていた配偶者や親等が亡くなった場合、扶養控除の適用から外れて所得税や住民税が高くなる可能性があります。

ただ、亡くなったからといってすぐに扶養から外れるわけではありません

よって、すぐに外してしまっていたら(外れてしまっていたら)損をしている可能性がありますので、ご自身の状況をよく確認してみる必要があります。

この記事では、税金の扶養はいつの時点まで対象になるのかを丁寧に解説します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・扶養の適用を判断をする日
・扶養による税金の影響額
・扶養控除を適用させる方法

扶養の適用を判断をする日

扶養の判断をする日は、存命の方と亡くなった方では基準日が変わってきます。

基準日は12月31日

存命の方を扶養に入れる場合の基準日は12月31日です。12月31日の所得の状況等を勘案して扶養に入れることになります。

(事例1)

令和4年12月31日時点で、配偶者、子2人がいる場合

所得などの扶養に入れる要件を満たしていれば、
所得税:令和4年分の扶養として配偶者、子2人を適用できる
住民税:令和5年度の扶養として配偶者、子2人を適用できる
※住民税は翌年度課税

(事例2)

令和4年11月に配偶者と離別、子1人がいる場合

所得などの扶養に入れる要件を満たしていれば、
所得税:令和4年分の扶養として子1人を適用でき、ひとり親控除が適用できる
住民税:令和5年度の扶養として子1人を適用でき、ひとり親控除が適用できる
※配偶者は12月31日時点で離別しているため、配偶者控除の適用はできないが、子を扶養しているためひとり親控除の適用が新たに加わります。

亡くなった場合は亡くなった時点(日)

亡くなった方を扶養に入れる時は、亡くなった時点(日)の状況で扶養の判定を行います

例えば、10月1日に亡くなった場合は、10月1日時点の所得等で判定し、扶養を適用させます。

つまり、12月31日時点に存命している必要はなく、亡くなった時点で判定することとなります。

(事例3)

令和4年8月1日に扶養していた親が亡くなった。

所得などの扶養に入れる要件を満たしていれば、
所得税:令和4年分の扶養として親を適用できる
住民税:令和5年度の扶養として親を適用できる

扶養と寡婦(ひとり親)のダブル適用について

同一人物における扶養控除と寡婦(ひとり親)控除は通常受けられません。

しかし、年の途中で亡くなった場合はその年に限りどちらの控除も受けられることがあります。

(事例4)

令和4年9月に配偶者が亡くなり、子を扶養している

所得などの扶養及びひとり親の要件を満たしていれば、
所得税:令和4年分として、配偶者控除、扶養控除(子)、ひとり親控除が適用できる
住民税:令和5年度として、配偶者控除、扶養控除(子)、ひとり親控除が適用できる
※配偶者控除は亡くなった時点で判定し、ひとり親控除は12月31日時点で判定する

配偶者が亡くなった場合で配偶者の所得が多く、これまで配偶者控除を受けていない場合でも配偶者控除を受けられる可能性があります

亡くなったタイミングによりますが、例えば2月に亡くなった場合、2ヶ月分の収入しかないため、配偶者控除が適用できる場合があります。

配偶者控除は給与収入では、103万円までは適用できますので、年の初めに亡くなった場合、適用できる可能性が高くなります。もちろん配偶者以外の扶養でも同様です。

収入が高いから扶養にならないと思い込んで、扶養の適用ができるのにしていない方は多く見受けられますので、忘れないように適用させましょう

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扶養でどれだけ税金に影響がある?

ここまで、扶養にできる場合の事例等を紹介しましたが、実際、扶養を適用させたらどの程度税金に影響があるのかを解説します。

所得控除の額について

扶養等に係る所得控除の金額は下表のとおりです。

控除の種類所得税住民税
寡婦控除27万円26万円
ひとり親控除35万円30万円
障害者控除普通障害27万円26万円
特別障害40万円30万円
特別障害(同居加算込み)75万円53万円
配偶者控除一般最高38万円最高33万円
老人最高48万円最高38万円
配偶者特別控除最高38万円最高33万円
扶養控除一般38万円33万円
特定63万円45万円
老人48万円38万円
老人(同居加算込み)58万円45万円

税金への影響額について

上記の表の控除額を基に税金の影響額を算出します。

所得税の影響額について

所得税は累進課税制度となっているので、それぞれの課税所得金額(課税標準額)によって税率が変わります。

課税所得金額は所得から所得控除を差し引いたもので、その課税所得金額によって下表のとおり税率が決まります。

課税所得金額税率控除額
        1,000円 ~   1,949,000円5%0円
  1,950,000円 ~   3,299,000円10%97,500円
  3,300,000円 ~   6,949,000円20%427,500円
  6,950,000円 ~   8,999,000円23%636,000円
  9,000,000円 ~ 17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円 ~ 39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円 ~45%4,796,000円

195万円未満であれば5%、195万円~330万円未満であれば10%といったように税率が変わります。

税率がわかれば所得税の影響額がわかります。

所得税の控除額に税率を乗じた金額がおおよその所得税の影響額となります。

(例)

配偶者控除38万円×税率5%=19,000円
☞所得税が約19,000円安くなります。

特定扶養控除63万円×税率10%=63,000円
☞所得税が約63,000円安くなります。

(例)のようにご自身に該当する控除に税率を乗じて算出してみてください。

なお、課税所得金額については下記の記事でまとめてありますので、興味があればご参照ください。

課税所得金額はどこを見ればわかる?各帳票の記載箇所を解説!

住民税の影響額について

住民税の税率は一律で10%です。

つまり、控除額に10%を乗じて算出した金額が住民税の安くなる金額になります。

(例)

ひとり親控除30万円×10%=30,000円
☞住民税が約30,000円安くなります。

一般扶養控除33万円×10%=33,000円
☞住民税が約33,000円安くなります。

※住民税と所得税では所得控除の金額が異なるので注意しましょう。

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扶養控除を適用させる方法

亡くなった方を扶養に入れる場合の手続き方法について解説します。

年末調整をしている場合

毎年、年末調整を行っているお勤め先であれば、年末調整で扶養控除を適用させることができます。

年末調整が行われる前に、お勤め先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が渡されるので、この申告書に必要事項を記載することで年末調整の際に控除を入れることができます。

しかし、注意しなくてはならないのは、お勤め先で知識のない方が年末調整をすることによって本当は受けられる控除を受けられないとして控除から除外される場合があります。

特に、亡くなった方を扶養に入れれないと判断する場合もあるようです。年末調整された後の源泉徴収票をチェックして、控除が適用されているかを必ず確認するようにしましょう。

確定申告

年末調整をしていない場合や、年末調整で控除に入ってない場合などは、ご自身で確定申告書を提出することで控除を適用させることができます。

確定申告は毎年、2月16日~3月15日の期間(還付申告は年明けから受付可)で行われていますので、その期間中に扶養控除を記載した確定申告書を提出しましょう。

まとめ

亡くなった方を扶養に入れるという考えがなく、扶養控除を受けていない方が多くいるのが現状です。

単純に知らないから入れていないだけで、そのことを教えると大抵の方は申告を行って扶養控除を適用させてます。

聞かなければ教えてくれる人もいませんが、この記事を読んだ方は扶養に入れれるのであれば、入れるのを忘れないようにしましょう。

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