復興特別所得税とは?引き下げと期間延長、計算方法について

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「復興特別所得税って自分も払っているの?」、「復興特別所得税というワードを初めて聞いたけど、なんのこと?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

復興特別所得税は、所得税額に2.1%を乗じて算出される税金で平成25年~令和19年までの25年間徴収される税金です。しかし、2023年度税制改正大綱では1%引き下げを行い、期間を延長するとされています。

この記事では、復興特別所得税について、その概要や計算方法などについて詳しく解説します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・復興特別所得税とは
・復興特別所得税がかかる所得について
・復興特別所得税の計算方法について
・復興特別所得税の引き下げ・期間延長について

復興特別所得税とは

復興特別所得税は、東日本大震災の復興のために必要な財源を確保するために創設されましたもので、平成25年から令和19年までの25年間の間、所得税に対して課税するものです。
税率は2.1%となっており、算出された所得税に対して2.1%が加算されます。
給与所得の方は源泉徴収票を貰っていると思いますが、復興特別所得税とはどこにも書かれてはいません。しかし、復興特別所得税はちゃんと計算され、皆さんは支払っています。

復興特別所得税がかかる所得について

所得税を納める義務のある方については復興特別所得税も併せて納める義務があります。つまり、所得が発生する所得について復興特別所得税が課税されることになります。
復興特別所得税がかかる所得は次のとおりです。
・営業所得
・農業所得
・不動産所得
・配当所得
・給与所得
・公的年金等所得
・雑所得
・譲渡所得
・一時所得 など
実はこれらの所得は確定申告で申告を行う所得なります。
【源泉徴収される所得について】
株式の譲渡所得は源泉徴収(あらかじめ所得税が引かれること)されていることがあります。
20.42%は所得税と復興特別所得税が引かれています。
20.315%は所得税と復興特別所得税、住民税が引かれています。
この二つはそれぞれ復興特別所得税も計算された税額となっています。
20.42%は、所得税が20%と復興特別所得税が0.42%です。
20%×2.1%=0.42%が復興特別所得税となります。
20.315%は、所得税が15%と復興特別所得税が0.315%と住民税が5%です。
15%×2.1%=0.315%が復興特別所得税となります。
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復興特別所得税の計算方法について

復興特別所得税は2.1%の税率ですが、復興特別所得税を計算する流れを見ていきましょう。
所得税の計算方法を確認しながら、復興特別所得税を算出する箇所を確認していきます。
1.収入から所得を算出
2.所得から所得控除を引いて課税所得金額を算出
3.課税所得金額に所得税の税率を乗じ、税額を算出
4.税額から税額控除を引いて基準所得税額を算出
5.基準所得税額に2.1%乗じ、復興特別所得税を算出
6.基準所得金額に復興特別所得税を加算することで、所得税及び復興特別所得税が算出される
7.所得税及び復興特別所得税から源泉徴収税額を引くことで申告納税額を算出
8-1.申告納税額がプラスであれば100円未満を切り捨てて納付
8-2.申告納税額がマイナスであれば還付
復興特別所得税は「5」で算出しています
基準所得税額に102.1%を乗じると、所得税及び復興特別所得税の額になります。

給与所得で計算すると

(前提条件)
給与収入300万円、所得控除100万円、税額控除1,000円
給与収入300万円は計算すると所得202万円になります。
所得202万円-所得控除100万円=課税所得金額102万円
課税所得金額102万円×税率5%=課税所得金額に対する税額51,000円
基準所得税額51,000円-税額控除1,000円=基準所得税額5万円
基準所得税額5万円×税率2.1%=復興特別所得税1,050円
50,000円+1,050円=所得税及び復興特別所得税額51,050円
※基準所得税額50,000×102.1%=51,050円でも所得税及び復興特別所得税額が求められます。

公的年金等所得で計算すると

(前提条件)
年金収入250万円(65歳以上)、所得控除80万円、税額控除なし
年金収入250万円は計算すると所得140万円になります。
所得140万円-所得控除80万円=課税所得金額60万円
課税所得金額60万円×税率5%-税額控除0円=基準所得税額3万円
基準所得税額3万円×税率2.1%=復興特別所得税630円
3万円+630円=所得税及び復興特別所得税30,630円
※基準所得税額3万円×102.1%=30,630円でも所得税及び復興特別所得税額が求められます。
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復興特別所得税の引き下げ・期間延長について

令和5年度税制改正の大綱では、復興特別所得税の税率を1%引き下げ、課税期間を延長するとの記載があります。具体的な延長期間は明記されていませんが、復興財源の総額を確保するために必要な長さとの記載がありますので、延長期間はそれなりに長いものだと推測されます。

復興特別所得の税率が1%下がったからといって、減税になるわけではありません。防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、当分の間、税率1%の新たな付加税を課すこととされていますので、全体の税率としては変更ありません。

復興特別所得税2.1%が1%下がって、1.1%になったが、新たな付加税として1%であるため、1.1%+1%=2.1%で税率に変更がないことになります。

税率に変更がないうえ、復興特別所得税の期間が延長されるので実質増税ということになりました。

所得税額に対し、当分の間、税率1%の新たな付加税を課す。現下の家計を取り巻く状況に配慮し、復興特別所得税の税率を1%引き下げるとともに、課税期間を延長する。延長期間は、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとする。
~令和5年度税制改正の大綱より~

まとめ

復興特別所得税は、所得税額に2.1%を乗じて算出される税金で平成25年~令和19年までの25年間の間徴収される税金です。しかし、2023年度税制改正大綱では1%引き下げを行い、期間を延長するとされました。
この先何年も付き合っていかなければならない税金ですので、どのような目的でどの程度の負担があるのか押さえておきましょう。
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