新型コロナワクチンの集団接種などで市区町村から報酬を貰った場合、確定申告が必要になる場合があります。
確定申告が必要かどうかはそれぞれの状況によって変わってきますので、パターン別に詳しく解説します。
また、確定申告の必要がない方でも、申告をしないと損をしてしまうことがありますので、ご注意ください。
給与所得の源泉徴収票を貰った場合
新型コロナワクチンの集団接種などで市区町村から報酬を貰った場合、市区町村によって給与所得で支給するか報酬(雑所得)で支給するかが分かれます。
まずは、給与所得として支給された場合について解説します。
接種業務の所得が20万円以下の場合
新型コロナワクチンの接種業務に携わっている方を看護師等の本業がある場合と、その年は接種業務だけを行っていた方で分けて解説していきます。
本業の所得がある場合
本業で年末調整をしており、接種業務の所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。
例えば、給与収入が300万円あったとして、接種業務で15万円の収入があった場合には確定申告は必要ありません。
※15万円の収入は所得でも15万円です(本業の300万円で給与所得控除を使い切っているため)。
なお、確定申告をしなくても問題ありませんが、確定申告をしないと損する場合があります。詳しくは後述してますのでご確認ください。
本業の所得がない場合
本業の所得がなく、接種業務の所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。
※給与所得が20万円とは、給与収入では75万円となります。
所得税は給与収入が103万円(給与所得で48万円)を超えると課税されるものですので、給与所得が20万円以下であれば課税される所得ではないため確定申告の提出義務はありません。
しかし、源泉徴収(所得税が天引き)されている場合、還付金が発生しますので、確定申告を行うことをお勧めします。
接種業務の所得が20万円を超える場合
本業や別の所得がある場合とない場合で分けて考えていきます。
本業の所得がある場合
本業の所得があり、お勤め先で年末調整を行っていたとしても確定申告は必要になります。
20万円未満であれば申告不要制度で申告をしなくてもいいですが、20万円を超えると申告不要制度はなく、必ず確定申告をする必要があります。
ただし、本業と接種業務合計所得で確定申告(所得税の計算)をした結果、還付になる場合は確定申告をしなくても問題はありません。
また、本業と接種業務の「所得」が48万円以下の場合も確定申告をしないくても問題はありません。
※基礎控除が48万円あるため、所得税は課税されません。
本業の所得がない場合
本業の所得がなく、接種業務の所得が20万円超の場合は金額により確定申告をするかしないかが分かれます。
※給与所得が20万円とは、給与収入では75万円となります。
所得税は給与収入が103万円(給与所得で48万円)を超えると課税されるものですので、接種業務の収入が103万円以下であれば課税される所得ではないため確定申告の提出義務はありません。
103万円を超えると所得控除との兼ね合いになりますが、所得が所得控除より大きい場合は確定申告が必要になります(計算の結果所得税に還付が発生する場合は提出義務はありません)。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を貰った場合
源泉徴収票ではなく、支払調書が届いた方は、給与所得ではなく、雑所得(業務雑)になります。
雑所得になった場合について、パターン別に解説します。
接種業務の所得が20万円以下の場合
新型コロナワクチンの接種業務に携わっている方を看護師等の本業がある場合とその年は接種業務だけを行っていた方で分けて解説していきます。
本業の所得がある場合
本業で年末調整をしており、接種業務の所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。
上記で解説した給与所得の場合と同様の考えになります。
本業の所得がない場合
本業の所得がなく、接種業務の所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。
しかし、源泉徴収(所得税が天引き)されている場合、還付金が発生しますので、確定申告を行うことをお勧めします。
接種業務の所得が20万円を超える場合
本業や別の所得がある場合とない場合で分けて考えていきます。
本業の所得がある場合
本業の所得があり、お勤め先で年末調整を行っていたとしても確定申告は必要になります。
20万円未満であれば申告不要制度で申告をしなくてもいいですが、20万円を超えると申告不要制度はなく、必ず確定申告をする必要があります。
ただし、本業と接種業務合計所得で確定申告(所得税の計算)をした結果、還付になる場合は確定申告をしなくても問題はありません。
また、本業と接種業務の「所得」が48万円以下の場合も確定申告をしないくても問題はありません。
※基礎控除が48万円あるため、所得税は課税されません。
本業の所得がない場合
本業の所得がなく、接種業務の所得が20万円超の場合は金額により確定申告をするかしないかが分かれます。
※雑収入は必要経費を引いて所得を算出しますので、必要経費がなければ収入=所得となります。
所得税は所得で48万円を超えると課税されるものですので、接種業務の所得が48万円以下であれば課税される所得ではないため確定申告の提出義務はありません。
48万円を超えると所得控除との兼ね合いになりますが、所得が所得控除より大きい場合は確定申告が必要になります(計算の結果所得税に還付が発生する場合は提出義務はありません)。
住民税申告が必要な場合
確定申告書を提出すると住民税申告を提出したことになるので、住民税に関しては特にすることはありません。
しかし、確定申告の申告不要制度を使った場合は少し注意が必要ですので、ご確認ください。
接種業務の収入が給与収入の場合
給与収入の場合、市区町村に給与支払報告書を給与の支払者が提出することになっていますので、住民税に関しては特に何もしなくても問題ありません。
市区町村は給与支払報告書の情報に基づいて住民税を課税します。
接種業務の収入が雑収入の場合
雑収入の場合、市区町村に自ら住民税申告を提出する必要があります。
確定申告の申告不要制度は、あくまでも確定申告の話ですので、住民税申告はしなければなりません。
確定申告をしないと損する場合
最後に、確定申告をしないと損する場合を確認していきましょう。
給与で受給した場合も、雑収入として受給した場合も所得税が天引き(源泉徴収)されているはずですので、本業の収入がよっぽど高くない限りは、接種業務で源泉徴収された税額の方が高くなるため、確定申告をすることで還付金が発生します。
還付金が発生するのに確定申告をしないと損することになります。
ただし、源泉徴収税額が低かった場合は追徴になることもあるので注意が必要です。
次に事例で確認していきましょう。
(例1)接種業務の給与収入10万円で源泉徴収税額(所得税)が3,600円引かれている場合(※厳選徴収税額は乙欄で算出)
本業で給与収入300万円(所得税の税率5%とする)である場合は、確定申告をすると損します。
10万円に対して源泉徴収税額が3,600円のため3.6%の税率となっています。
つまり、確定申告をすると3.6%の税率が5%になってしまうため損をしてしまうので、この場合、申告不要制度選択した方がいいことになります。
(例2)接種業務の給与収入30万円で源泉徴収税額(所得税)が53,700円引かれている場合(※厳選徴収税額は乙欄で算出)
本業で給与収入300万円(所得税の税率5%とする)である場合は、確定申告をすることで還付金が発生します。
30万円に対して源泉徴収税額が53,700円のため17.6%の税率となっています。
つまり、確定申告をすると全ての所得を合わせて5%の税率(場合によっては10%)になることから、接種業務の源泉徴収税額が引かれすぎていることがわかります。
この引かれすぎた分が還付金として戻ってきますので、確定申告を行った方がいいという結果になります。
まとめ
その方の状況によって確定申告が必要・不要、住民税申告が必要・不要と分かれますので、自分に該当するものを確認して申告する・しないを判断しましょう。
確定申告不要制度を使える方は、申告の結果、還付金が出るようであれば申告をし、逆に支払う税金が増えるようであれば申告不要を選択するようにしましょう。
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