個人年金は、自分で何年も積み立ててからもらうもので、「自分でお金を払ってからもらうのに税金がかかるの?」と思っている方も多くいます。
自分で積み立てて戻ってくる部分には税金がかかりませんが、満期まで積み立てると、積み立てた以上の金額が支払われます。
その利益となる分に所得税や住民税が課税されることになります。
しかし、収入の状況や個人年金の状況によっては、確定申告が不要となり、所得税を支払わなくてもよいことがありますので、この記事で詳しく解説します。
個人年金(雑所得)は確定申告が不要なのか
個人年金は雑所得として確定申告が必要な所得となります。
所得税や住民税は、利益として得た分について課税がされるものです。
例えば、個人年金を200万円を積み立ててきたとして、10年間にわたり毎年30万円(総額300万円)をもらえるとした場合、300万円-200万円=100万円が利益の分となります。
この100万円に対して税金が課税されることになります。
つまり、個人年金といえども積み立てた以上にお金を受け取ることになれば、所得となり確定申告を行うことで税金の精算を行います。
個人年金(雑所得)が確定申告が不要な場合
個人年金の所得があっても確定申告をしなくてもいい場合があります。
・1年間の所得が20万円以下
・所得税を納めすぎている
支払った金額より受け取る金額が少ない
支払った金額より受け取る金額が少ない場合は、利益は生まれないため所得にはなりません。
所得がない状態であれば税金は発生しませんので、確定申告の必要はありません。
【事例】
支払額(総額):200万円
受取額(総額):180万円
180万円-200万円=△20万円
支払額より受取額が少ないので、損をしている状態で所得が発生していませんので、確定申告は不要となります。
1年間の所得が20万円以下
個人年金のおける所得が20万円以下の場合、確定申告不要制度を選択できる可能性があります。
制度の詳細は以下のとおりです。
【給与の方】
給与の収入金額が2,000万円以下、かつ、給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。【年金の方】
国内において公的年金等の支払を受けている人については、次のいずれにも該当する場合、確定申告をする必要はありません。
1 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である。
2 その公的年金等の全部が源泉徴収の対象(注)となっている。
3 その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である。引用元:No.2020 確定申告|国税庁
支払額から受取額を引いた金額が20万円以下である場合(上記の要件に該当する場合)は、確定申告をしなくても問題ありません。
これは、確定申告をすることで納める所得税が発生する場合でも、提出しなくてもよいことになります。
個人年金から所得税が発生している場合は、還付金が発生する可能性がありますので、確定申告書を提出しないと損をする場合もあることに注意が必要です。
所得税を納めすぎている
個人年金を受け取る際に所得税が引かれている場合があります。この所得税が多く引かれている場合は確定申告をしなくてもいい場合があります。
例えば、年金収入の方で個人年金を30万円貰っている方は、基本的には確定申告が必要になります。
しかし、所得税の計算をして、還付になる場合は確定申告をしなくても問題ありません。だたし、確定申告をしないと本来貰えるはずの還付金が貰えないことになります。
個人年金(雑所得)の住民税の影響
個人年金は、住民税の課税の対象になります。
住民税の税率は10%となっているので、所得(利益)の約10%分が課税されることになります。
また、住民税は所得税と違い申告不要制度はないことに注意が必要です。
確定申告をしている方は、住民税申告をしたことにもなりますので、住民税の申告は不要です。
しかし、確定申告不要制度で個人年金分を申告しなかった場合は、確定申告は不要でも住民税の申告が必要になります。
住民税の申告は税務署で行うことはできないため、お住いの市区町村で申告をするようにしましょう。
まとめ:個人年金(雑所得)は確定申告不要?
個人年金は雑所得に分類され、所得の一つになるため確定申告が必要なものになります。
しかし、確定申告不要制度に該当していたり、払込額より受取額が少ない場合などには確定申告をする必要はりません。
なお、所得が発生している場合は、確定申告不要制度に該当していても住民税の申告が必要であることに注意が必要です。
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