給与収入に交通費(通勤手当)は含まれる?健康保険の扶養は?

基礎知識
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「給与収入に交通費(通勤手当)は含まれているの?」

「源泉徴収票の支払金額に交通費(通勤手当)は含まれているの?」

「扶養に入れるための計算に交通費(通勤手当)は加味するの?」

自家用車や電車などで通勤している場合でお勤め先から交通費(通勤手当)が支給されている方も多いと思います。

しかし、交通費(通勤手当)の取り扱いについては意外と複雑です。
この記事では上の3つ疑問を解決するとともに、交通費(通勤手当)の疑問点を解決できるよう解説します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・給与収入に交通費(通勤手当)は含まれるのかどうか
・交通費(通勤手当)の非課税限度額について
・扶養の判定に交通費(通勤手当)は含まれるのかどうか
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給与収入に交通費(通勤手当)は含まれる?

給与収入に交通費(通勤手当)は含まれません

お勤め先によって交通費(通勤手当)の支給基準は違うため、支給額は異なりますが一定の要件のもと、所得税法で非課税所得とされています。

これは、お勤め先へ通勤するための「経費」のような性質であるため、労働の対価ではないため非課税とされています。

給与明細には、交通費(通勤手当)の記載があり、この交通費を含んで総支給額が記載されていると思いますが、お勤め先からもらう「源泉徴収票」の「支払金額」からは除かれています

源泉徴収票の支払金額には毎月の給与や各種手当、賞与が含まれていますが交通費は除かれます。

よって、一般的な「年収」といわれるものは交通費を含まないものとなります。

※毎月の給与明細の交通費も含まれた状態で源泉徴収票が作成されていた場合、計算が誤っている可能性がありますのでお勤め先に確認した方がいいでしょう。

【根拠法令】
~所得税法第9条第1項第5号より~
「給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」

所得税法第9条は「非課税所得」を記載している条文であるため、上記の条文により交通費が非課税となっております。

交通費(通勤手当)の非課税限度額について

交通費(通勤手当)は所得税法上で非課税とされていますが、いくらでも非課税かと言うとそうではありません。

例えば、「お勤め先まで5kmの距離で交通費(通勤手当)は月10万円です」と言われると「それは高すぎ!」となりますよね。

つまり、それは交通費(通勤手当)ではなく収入とみなされます。
収入であれば当然課税されます。

では、その基準は?というと下表のとおりです。

区  分 非課税限度額(円)
交通機関等を利用して支給する通勤手当 150,000
交通機関を利用している人に支給する定期乗車券 150,000
自動車などを使用して支給される通勤手当 通勤距離(片道)  
2km未満 全額課税
2km~10km未満 4,200
10km~15km未満 7,100
15km~25km未満 12,900
25km~35km未満 18,700
35km~45km未満 24,400
45km~55km未満 28,000
55km以上 31,600

バスや電車で通勤する方は15万円まで非課税です。

自動車などのマイカー通勤の場合は距離数に応じて非課税限度額が設定されています。

※2km未満で交通費(通勤手当)が出ている場合はすべて課税される所得になります。

なお、非課税限度額を超えて交通費(通勤手当)を支給した場合は、その超過分が課税される所得になります。

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扶養の判定に交通費(通勤手当)は含まれる?

扶養の判定には、含まれる場合と含まれない場合があります。

交通費(通勤手当)は、税金の扶養の判定には含めませんが、健康保険の扶養の判定には含めます

所得税・住民税の扶養の判定について

所得税及び住民税における扶養の判定は合計所得金額によって判定します。

給与所得者であれば源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の部分が所得となります(下画像の赤枠部分)。

給与所得者の支払金額には交通費(通勤手当)は含めないで源泉徴収票に記載されます。

そして、この支払金額から「給与所得控除後の金額」である「所得」を計算しますので、結果的に所得税及び住民税の扶養の判定には交通費(通勤手当)が含まれないことになります。

余談ですが、扶養に入れる範囲の所得は48万円です。これを給与収入にすると103万円です。

よく言われる103万円の壁のことです。103万円を越えると所得税及び住民税の扶養の対象外となります。

健康保険の扶養の判定について

健康保険の扶養は交通費(通勤手当)を含めて判定します。

一般的に健康保険の扶養に入るには年間の収入で130万円です(※ご加入の健康保険によって違う場合があります。)。
いわゆる130万円の壁です。

この130万円には非課税所得である交通費(通勤手当)のほか、雇用保険や遺族年金などの非課税所得も含まれますのでご注意ください。

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交通費(通勤手当)の影響について

交通費(通勤手当)の支給があるなしは就職先を選ぶ上でも重要な要素となります。

もちろん、高い方がありがたいですが、遠距離からの通勤で非課税所得の範囲内であっても高額になることがあります。

この場合、所得税や住民税に影響はありませんが、ご自身で支払う健康保険料が高くなります。

健康保険料は金額は給与収入や残業代、各種手当、交通費(通勤手当)を含む「標準報酬月額」で決まります。

つまり、交通費(通勤手当)が高くなると標準報酬月額が高くなり、結果、健康保険料が高くなるということです。

源泉徴収票の支払金額が同じ人でも、交通費(通勤手当)が高い人は、健康保険料の金額が高くなってしまいます。

国民健康保険税(料)は、税法上の所得(源泉徴収票の所得)を使用して税(料)額を計算します。
つまり、交通費(通勤手当)は含まないで計算します。

まとめ

シンプルにまとめると以下のとおりです。

・交通費(通勤手当)は所得税・住民税の計算及び扶養の判定には含めない。
ただし、非課税限度額を超えると所得として判定する。

・交通費(通勤手当)は健康保険料の計算及び扶養の判定には含める。

ものによって含めたり、含めなかったりとしますが、一つずつ確認すれば難しいものではありませんので、間違わないようにしましょう!

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