サラリーマンの副業の一つで人気なのが駐車場経営です。
しかし、駐車場で収入を得た場合、不動産所得となり申告が必要となります。
所得が20万円以下であれば確定申告が不要な場合もありますが、住民税の申告は必ず必要になります。
この記事では、サラリーマンが駐車場の不動産所得を申告する方法について詳しく解説します。
サラリーマンが駐車場経営した場合の確定申告の書き方
まずは、確定申告書を書くために必要な物を準備しましょう。
- 給与の源泉徴収票
- 収支内訳書(不動産所得用)
- 駐車場の固定資産税の支払額がわかるもの
- 駐車場の契約書
収支内訳書(不動産所得用)の作成
駐車場は不動産所得に分類されますので、「収支内訳書(不動産所得用)」の作成が必要となります。
年分・住所・氏名・職業・電話番号の記入
例えば、令和6年1月1日~12月31日までに得た収入であれば、令和6年分となります。
あとは、住所や氏名などの必要事項を記入します。
不動産所得の収入の内訳
ここも上の例を参考に必要事項を記入していきます。
駐車場を貸している場合、複数の方と契約して貸していると思いますので、契約書等を見ながら、一人一人の内容を記入していく必要があります。
記入しきれない場合は、もう一枚用意して内訳に全員分の内容を書いていきます。
収入・経費などの記入
左側の欄に必要な数字を記入していきます。
賃借料①:内訳に書いた賃借料の合計を記入します。
租税公課㋑:駐車場の固定資産税の支払額を記入します。
修繕費・雑費:修繕したものや駐車場運営に必要な経費があれば記入します。
所得金額⑮:収入から経費を引いた金額を記入します。
確定申告書の作成について
確定申告書は源泉徴収票と収支内訳書を書き写していくことで作成することができます。
源泉徴収票は、下の画像のものを使用します。
確定申告書第二表
確定申告書を作成するときは第二表から作成します。
第二表から作成した方がわかりやすく、ミスが少なくなります。
基本的には、源泉徴収票を書き写していく作業となります。
所得の内訳
源泉徴収票を見ながら、画像のように記入します。
社会保険料控除
源泉徴収票を見ながら、画像のように記入します。
生命保険料控除
源泉徴収票を見ながら、画像のように記入します。
第二表では支払額を記入し、第一表では控除額を記入するので、注意しましょう。
確定申告書第一表
確定申告書第一表は、第二表と収支内訳書、源泉徴収票の内容を書き写し、計算をしていきます。
収入金額等
ここには、不動産と給与の収入額を記入します。
不動産
不動産の箇所に収支内訳書の「収入金額の計⑤」を転記します。
区分については、次の内容を記載します。
区分1:国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の適用がある場合に「1」と記入します。
※駐車場は関係ありませんので空欄でOKです。
区分2:記帳や帳簿の保存方法により番号を記入します。
内容 | 区分 |
電子帳簿保存法の規定に基づく優良な電子帳簿の要件を満たし、電磁的記録による保存に係る届出書を提出し、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録による備付け及び保存を行っている場合 | 1 |
会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合(1以外) | 2 |
総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を複式簿記に従って記帳している場合(1と2を除く) | 3 |
日々の取引を複式簿記以外の簡易な方法で記帳している場合(2以外) | 4 |
上記のいずれも該当しない場合(記帳の仕方がわからない場合) | 5 |
複雑なことをしていない場合や良くわからない場合は「5」を選択しましょう。
給与
源泉徴収票の「支払金額」または、第二表の収入金額から転記します。
所得金額等
ここには、不動産と給与の所得額を記入します。
不動産
不動産の箇所に収支内訳書の「所得金額⑮」を転記します。
給与
給与の箇所に源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を転記します。
所得から差し引かれる金額
ここには、社会保険料控除と生命保険料控除、基礎控除を記入します。
社会保険料控除
源泉徴収票の「社会保険料等の金額」または、第二表の社会保険料控除の金額を記入します。
生命保険料控除
源泉徴収票の「生命保険料の控除額」を転記します。
基礎控除
合計所得金額が2,400万円以下の場合48万円と記入します。
税金の計算
ここからは計算をしていく箇所となります。
課税される所得金額
所得の合計から所得控除の合計を引いて計算します。
税額
課税される所得金額に応じた税率を乗じて計算します。
下表に当てはめて計算しましょう。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 ~ 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 ~ | 45% | 4,796,000円 |
今回は、課税される所得金額が2,550,000円であるため税率は10%になります。
2,550,000×10%=255,000円
255,000円-97,500円=157,500円
復興特別所得税額
税額に2.1%を乗じて計算します。
157,500円×2.1%=3,307円
所得税及び復興特別所得税の額
税額と復興特別所得税額を合計します。
157,500円+3,307円=160,807円
源泉徴収税額
源泉徴収票の「源泉徴収税額」または、第二表の源泉徴収税額から転記します。
申告納税額
税額から源泉徴収税額を引いて計算します。
160,807円-135,200円=25,607円
第3期分の税額
申告納税がプラスだった場合は、納める税金に記入します。
申告納税がマイナスだった場合は、還付される税金に記入します。
以上で確定申告書の作成は終了となります。
なお、住所や氏名等の記載の説明は省いておりますので、記入を忘れずにしてください。
サラリーマンが駐車場経営した場合の住民税申告の必要性
これまで確定申告の方法について解説してきましたが、確定申告はあくまで所得税だけの話です。
駐車場運営により所得を得た場合は、基本的には所得税と住民税が課税されることになります。
しかし、確定申告書を提出した場合は、住民税の申告をする必要はありません。
これは、確定申告書の提出を持って、住民税の申告も同時に行ったことになるからです。
税務署から確定申告書が市区町村に送付され、その確定申告書をもとに住民税が課税されます。
申告不要制度について
ここで覚えておくべきこととしては、駐車場の運営により所得があったとしても確定申告をしなくても良い場合があるということです。
確定申告には「申告不要制度」というものがあります。
今回のようにサラリーマンが給与の支払いを受けているときに、給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告をしなくていいことになっています。
例えば、500万円の給与があり年末調整をしている場合、給与に対する所得税の精算は終わっています。
ここに不動産所得が15万円あったとしても、確定申告は提出不要となります。
もちろん提出することはできますが、無駄に所得税を支払うことになってしまいます。
申告不要制度の注意点
申告不要制度は、確定申告(所得税)のみが適用になることに注意が必要です。
つまり、住民税にはこの申告不要制度がないということです。
よって、不動産にかかる所得が少しでもある場合は住民税申告が必要となります。
住民税申告には、確定申告と同様に収支内訳書の作成が必要となります。
あとは、確定申告と同様のものを準備して、お住いの地区町村の住民税の窓口で申告を行うこととなります。
住民税の申告書は市区町村によって様式が異なるため、作成方法は割愛しますが、ほとんどの市区町村では職員が作成してくれますので安心してください。
まとめ:サラリーマンが駐車場経営した場合の確定申告の書き方は?
通常の確定申告書の作成と違うのは、収支内訳書を作成しなくてはいけないことです。
この収支内訳書さえ作成してしまえば、確定申告書は源泉徴収票と収支内訳書の転記作業でほとんど完成してしまいます。
この記事を参考に確定申告書を作成してみてください。
この記事の内容でも、確定申告書の作成方法が良くわからない場合は、確定申告書の作成ソフトを使うことをおすすめします。
必要な箇所に入力するだけで自動計算してくれますので、確定申告書の作成は簡単にできます。
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