年末調整の際によくわからず生命保険料控除や社会保険料控除の控除証明書や領収書を提出していませんか?
提出する方法によっては節税できる可能性があります。
この記事では、生命保険料控除と社会保険料控除の申告方法による節税の仕方について詳しく解説します。
生命保険料控除の節税できる申告方法
上限を超えてしまった分については、いくら申告しても控除額は上がりません。
また、そもそも所得が低く控除を申告しても意味がないなどの問題が出てきます。
控除の上限を超える場合の節税方法ついて
まず、それぞれの控除の上限額は以下のとおりとなります。
保険種類 | 制度 | 上限額(円) |
一般の生命保険料 | 旧制度 | 50,000 |
一般の生命保険料 | 新制度 | 40,000 |
介護医療保険料 | 40,000 | |
個人年金保険料 | 旧制度 | 50,000 |
個人年金保険料 | 新制度 | 40,000 |
合 計 | 120,000 |
一般と個人年金の保険料は、旧制度と新制度があり、旧制度のみ適用の場合は旧制度の上限額を使用し、旧制度と新制度を合計して適用する場合は新制度の上限額となります。
なお、保険種類や制度の違いは「生命保険料控除証明書」に記載があります。
これらの上限額を把握したうえで、節税の話に移りますが、ご家族に所得税や住民税を支払ってる方がいるという前提条件が必要となります。
例えば、Aさんが新制度の一般の生命保険料控除の契約を2つしており、それぞれの控除額が4万円を超えている場合、1つの契約分の控除が無駄になってしまいます。
そこで家族であるBさんがAさんの契約のうち1つの契約分の支払いを行えば、Bさんの生命保険料控除として認められます。
契約者がだれであれ、支払いを行っている人が控除を受けることができます。
控除を受ける人を変更することで節税が可能なパターンを数例挙げますのでご確認ください。
<事例では生命保険の記載方法を簡略化します>
・一般の生命保険料(新制度)→新一般
・一般の生命保険料(旧制度)→旧一般
・介護医療保険料→介護
・個人年金保険料(新制度)→新個人年金
・個人年金保険料(旧制度)→旧個人年金
また、事例の対象者は全員控除を十分受けられる所得がある前提とします。
【事例1】
(現状)
Aさん:新一般4万円、旧一般5万円
Bさん:新一般1万円
この状態で申告するとAさんは5万円、Bさんは1万円の生命保険料控除を受けることができます。
(変更案)
Aさん:旧一般5万円
Bさん:新一般1万円、新一般4万円
この状態で申告するとAさんは5万円、Bさんは4万円の生命保険料控除を受けることができます。
Aさんは旧一般5万円で上限に達しているため、新一般の4万円についての恩恵は何も受けていないのでBさんが支払うことによって、Bさんの控除を上げることのできるケースです。
【事例2】
(現状)
Aさん:新一般4万円、旧一般5万円、介護4万円、新個人年金4万円、旧個人年金5万円
Bさん:なし
この状態で申告するとAさんは12万円の生命保険料控除を受けることができます。
※合計した場合の上限額が12万円
(変更案)
Aさん:新一般4万円、介護4万円、新個人年金4万円
Bさん:旧一般5万円、旧個人年金5万円
この状態で申告するとAさんは12万円、Bさんは10万円の生命保険料控除を受けることができます。
Aさんは変更案の12万円で上限額に達していますので、残りの「旧」の生命保険料についての恩恵を受けていませんので、Bさんが支払うことによって控除を上げることのできるケースです。
【事例3】
(現状)
Aさん:新一般4万円、所得税の税率5%
Bさん:介護4万円、所得税の税率10%
(変更案)
Aさん:なし
Bさん:新一般4万円、介護4万円
現状の場合、生命保険料控除としては、4万円+4万円=8万円で、変更案でも合計で8万円の控除額となります。
しかし、Bさんの方が所得税の税率が高いため、Bさんが控除を受けた方が所得税の減税効果が高まります。
≪所得税の減税額≫
(現状)4万円×5%+4万円×10%=6,000円
(変更案)4万円×10%+4万円×10%=8,000円
※復興特別所得税額を除く
このように税率が高い方に生命保険料控除を適用させた方が節税効果が高まります。
「生命保険料控除 所得税と住民税の違い⁉」
社会保険料控除の節税できる申告方法
社会保険料控除は、給与から天引きされているものは申告の必要はなく控除が適用されます。よって、天引きのされていない社会保険料控除で節税ができるか考えていきます。
まず、給与から天引きされていない社会保険料控除の申告を忘れないようにしましょう。
意外と申告を忘れていて控除を受けていない方がいます。
・健康保険
・国民年金
・厚生年金
・国民健康保険
・後期高齢者医療保険
・介護保険
・雇用保険 など
節税を考える上では、より所得税の税率が高い方に控除を適用することが必要となります。
(現状)
Aさん:所得税の税率10%
Bさん:所得税の税率5%
Cさん:非課税、国民年金の支払い198,240円の支払い
Aさん:所得税の税率10%、国民年金の支払い198,240円の支払い
Bさん:所得税の税率5%
Cさん:非課税
また、BさんよりAさんの方が税率が高いため、Aさんが支払い、控除を受けるのが一番節税になります。
(現状)
Aさん:所得税の税率5%、年金から後期高齢者医療保険の天引き
Bさん:非課税、年金から後期高齢者医療保険の天引き
Aさん:所得税の税率5%、年金からの後期高齢者医療保険の天引き、Bさんの後期高齢者医療保険を口座振替による支払い
Bさん:非課税
しかし、年金からの天引きは口座振替に変更することに限り(納付書払いなどは不可)徴収方法を変更できます。
・非課税の方に控除がいくらあってもその恩恵は受けられません。
非課税の方が支払っているものを課税されている人が支払い、控除の申告をすること。
・税率が高い方に控除を回した方がより減税の効果が高まる。
「課税所得金額はどこを見ればわかる?各帳票の記載箇所を解説!」
まとめ
生命保険料控除は、保険の種類や制度による上限額、また、合計した場合の上限額を意識して控除をうまく使えてない場合は、ほかの家族が控除を使うと節税になります。
社会保険料控除は、家族内で誰が支払うとより控除の恩恵を受けられるのか(課税されている人・税率が高い人)を意識することで節税することができます。
家族の支払い・控除の金額などを把握して上手に節税をしましょう。
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