雑損控除とは?わかりやすく解説!どれだけ税金が安くなる?

雑損控除とは 節税
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地震や洪水などの災害や盗難などの被害は思いもしない時に起こります。
そんな被害を受けた時には雑損控除を使うことで税金を安くすることができます。

この記事では、災害や盗難などの被害を受けた際に使える雑損控除について、その内容や申告方法について詳しく解説します。

 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・雑損控除が受けられる要件
・雑損控除の計算方法や控除額
・雑損控除を受けるための申告方法
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雑損控除が受けられる要件

雑損控除とは

次の要件に当てはまれば、雑損控除が受けられる可能性があります。

〇対象になる資産

・資産の所有者が納税者、または、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下

・「生活に通常必要ではない資産」、「棚卸資産」、「事業用固定資産等」のいずれにも該当しない資産

※「生活に通常必要ではない資産」とは、別荘や1つの価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董などの生活に通常必要ではないものをいいます。

〇損害の原因

1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
2.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3.害虫などの生物による異常な災害
4.盗難
5.横領

詐欺や恐喝の場合は対象となりません

雑損控除の計算方法

雑損控除の計算は次の2つのうち、どちらか多い方となります。

(1)差引損失額-その年の所得金額×10%
(2)災害関連支出の金額-5万円

【用語解説】

・災害関連支出とは
住宅、家財を原状回復した費用や取り壊した費用などです。

・差引損失額とは
損害金額に災害関連支出を加えて、保険金などで補てんされた金額を差し引いた実損となります。
(損害金額+災害関連支出)-補填された保険金等

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雑損控除で所得税・住民税はどの程度安くなる!?

雑損控除 効果

雑損控除の適用を受けた時に、どの程度所得税と住民税が安くなるのかを計算してみます。

【前提条件】
・給与収入:400万円
・給与所得:276万円
・所得控除:123万円(社保60万+生命保険料控除10万円+地震保険料控除5万円+基礎控除48万円)
・損額金額:100万円
・災害関連支出:40万円
・損害による保険金額:20万円

≪差引損失額を求めます≫
(損害金額+災害関連支出)-補填された保険金等
(100万円+40万円)-20万円=120万円

≪雑損損控除の対象額を求める≫
(1)差引損失額-その年の所得金額×10%
120万円-276万円×10%=924,000円

(2)災害関連支出の金額-5万円
40万円-5万円=35万円

(1)及び(2)のうち金額が大きい方が雑損控除の対象額となるため、924,000円が雑損控除の対象額となります。

〇所得税の金額を求める(雑損控除なし
所得276万円-所得控除123万円=課税所得金額153万円
153万円×税率5%×復興特別所得税102.1%=所得税及び復興特別所得税額78,100円

〇所得税の金額を求める(雑損控除あり
所得276万円-所得控除123万円-雑損控除92.4万円=課税所得金額606,000円
606,000円×税率5%×復興特別所得税102.1%=所得税及び復興特別所得税額30,900円

〇所得税が安くなる金額は?
雑損控除がある・なしで比較すると、
78,100円-30,900円=47,200円となるため、雑損控除の適用により47,200円の所得税が安くなりました

簡単に安くなる金額を計算するには、雑損控除対象額×税率×102.1%です
☞924,000円×5%×102.1%=47,170.2円

つまり、ご自身の税率に応じて雑損控除対象額を乗じることで、安くなる金額を求められます。

〇住民税が安くなる金額は?
住民税は税率10%と決まっていますので、雑損控除対象額×10%で安くなる金額が計算できます
今回の場合は、924,000円×10%=92,400円となるため、雑損控除の適用により92,400円の住民税が安くなります。

〇所得税と住民税を合わせると
今回のケースで所得税と住民税の安くなった金額は、47,200円+92,400円=139,600円となります。

雑損控除を受けられる期間

雑損控除は、翌年以後3年間繰り越すことができます。

大きな災害が起きた時は、その損失額も大きくなるためその年の所得金額から控除し切れない場合があります。
そのため、余った金額はさらに3年間控除することができます。

繰り越す金額の計算には注意が必要です。
所得から所得控除を引く際には、雑損控除から控除していきます。
つまり、所得より雑損控除の金額が大きくなければ繰越額は出ないということです。

雑損控除の適用を受けるための申告方法

雑損控除

雑損控除の適用を受けるには、確定申告書を提出する必要があります
年末調整ではできませんので注意しましょう。

確定申告書を提出すると住民税の申告もしたことになりますので、住民税でも雑損控除が受けることができます

必要書類

雑損控除の適用を受けるためには、通常の確定申告に必要な書類のほかに次の書類が必要になります。

・罹(り)災証明書の写し(市区町村からもらう)
・被害額届出用の証明書(警察からもらう)
・被害を受けた住宅などの資産の取得価格や取得年月日がわかる書類(契約書等)
・被害を受けた資産を修繕、原状回復するなどの費用がかかったもの(見積書や領収書など)
・保険金等の補填額がわかる書類(保険会社からでる書類)
※保険金が支給された場合のみ

確定申告書の記載方法

確定申告書は雑損控除以外は通常と同じ箇所を記載し、雑損控除に関するところは、確定申告書第一表左側の「所得から差し引かれる金額」の「雑損控除」の欄に雑損控除の対象額を記載します。
雑損控除記載箇所

また、確定申告書第二表には次の事項を記載する必要があります。

雑損控除に関する事項」に、
・損害の原因
・損害年月日
・損害を受けた資産の種類など
・損害金額
・保険金などで補填される金額
・差引損失額のうち災害関連支出の金額
雑損控除記載箇所

まとめ

雑損の適用を受ける場合は、確定申告書を提出しなければ控除を受けることはできません
住民税の控除は確定申告書を提出すれば何もしなくても控除が受けることができます。

また、災害を受けた時には災害減免法の減免や軽減が適用ができる場合がありますので、どちらの方が自分にとってメリットがあるのかを考えてから選ぶ必要があります。

申告をしないと損をしてしまいますので、考えることは多いですが、自分にとって最善の方法で申告を行いましょう。

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