「医療費通知(医療費のおしらせ)の負担額と領収書の金額(実際の負担額)が違うけど間違っているの?」
「医療費通知と実際の負担額のどちらを医療費控除で使えばいいの?」
とそれぞれの金額を照し合せた人は疑問になりますよね。
医療費通知の負担額と領収書(実際の負担額)では、ちょっとした計算方法の違いで金額が異なっています。
また、「医療費控除ではどちらの金額使ってもいい」ことになっています。
この記事では、負担額の計算方法の違いや申告時の記載方法などについて詳しく解説します。
医療費通知と領収書の金額が違う理由
ここでは、医療費通知(医療費のおしらせ)の負担額と窓口での負担が違う理由を解説します。
医療費通知について
医療費通知に記載されている自己負担額(支払った医療費の額)は、診療報酬点数に10円を乗じて医療費の総額(10割負担額)を算出しています。
そこに、自己負担割合(多くの人は3割)を乗じて算出するため、10円未満の金額まで記載されています。
領収書の金額(窓口での負担額)
医療機関等の窓口で支払う医療費は、10円未満の金額を四捨五入による端数処理をしていることが多いです。
医療費通知と領収書の違い
上記の「医療費通知について」と「領収書の金額(窓口での負担額)」で説明したとおり、計算方法が少し異なります。
この計算方法の違いから医療費通知と領収書に違いが出てくることになります。
医療費控除で使える金額はどっち?
「医療費通知と領収書の金額に違いが出るのはわかったけど、医療費控除の申告にはどちらを使えばいいの?」
と思いますよね。
この取り扱いについては、どちらを使っても構わないことになっています。
よって、金額が大きい方を使用して申告した方が有利となります。
医療費通知と領収書を比較していない方は、医療費通知の金額を使用することをお勧めします。
比較をして領収書の金額の方が高くなったとしても、それが税額として安くなるのはいくらかと考えた場合、微々たるものです。
領収書を用いて申告する場合は、医療費控除の明細書に記載する項目が多く、手間がかかってしまうので労力を考えると医療費通知で簡単に終わらせた方が得策です。
医療費控除の明細書の書き方
医療費通知を使用して医療費控除の申告を行う場合は、下画像の「医療費控除の明細書」の赤枠部分に必要事項を記載します。
詳しい書き方は以下のとおりです。
(1)医療費通知に記載された医療費の額
ここには、医療費通知に記載されている自己負担額を記載します。
医療費通知(医療費のお知らせ)の発行している機関によって名称が変わりますが、「あなたが保険医療機関等に支払った額」や「加入者の支払額」などと記載していることもありますので、そこの数字を拾いましょう。
「医療費通知に記載された医療費の額」というタイトルから、医療費の総額(10割負担額)を記載する方が多く見受けられます。
ここは、あくまでも自己負担額(1割~3割)を記載する箇所ですので間違わないようにしましょう。
(2)(1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額
医療費通知に記載されている金額をそのまま使う場合
ここには、医療費通知に記載されている自己負担額を記載します。
領収書の金額(窓口で支払った金額)を使う場合
ここには、領収書の金額(窓口で支払った金額)を記載します。
領収書の金額を記載する場合、医療費通知の余白などに実際に支払った金額を書いておきましょう。
(3)(2)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額
ここには、医療費を支払ったけど、後からその医療費について戻ってきた金額がある場合に記載します。
例えば、
・加入している生命保険から手術したことによって得た保険金
・加入している健康保険から「高額療養費」、「療養費」として還付を受けたもの
【補てんされる金額は全額を記載しなくてもいい?】
補てんされる金額には、その医療費に係るものの金額だけ記載すればいいです。
具体例を挙げると、
○○病院に入院し、医療費が10万円かかったが、生命保険から20万円の保険金が出た場合、20万円を補てんされる金額に記載してしまうと、ほかの医療費からも10万円分差し引くことになります。
しかし、ほかの医療費から差し引く必要はありませんので、この場合、補填される金額には「10万円」と記載すればいいことになります。
まとめ
医療費通知と領収書の金額の違いは、算出方法の違いから生じたものですが、医療費控除の申告の際にはどちらを使用しても構いません。
ただ、「それなら金額の高い方を使おう」となってしまいがちですが、医療費控除による税金の節税効果はあまり大きいものではありません。
よく、医療費控除をして「これしか戻らないの?」と言われる方が多いです。
医療費通知の金額をそのまま使うのか、領収書と比較して少しでも高い金額を使うのかは、ご自身の作業の手間と比較しながら、上手に申告を行いましょう。
医療費控除の対象額はいくらから?どれだけ税金が安くなる?
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