生命保険料控除の増額はいつから!?税金の軽減額を徹底試算!

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子育て世帯の生活を支援することを主な目的に生命保険料控除の上限額を引き上げることが国で検討されています。なお、子育て世帯以外も上限額の引き上げの検討がされています。

「この検討内容でどの程度上限額が上がるの?」
「上限額が上がることでどれだけ税金が安くなるの?」

今回の検討が本当に実現したらどの程度税金が安くなるのかを詳しく解説します。

本記事掲載後、令和6年度税制改正大綱が決定されました。
その結果は残念ながら、子育て世代(子どもを扶養している世帯)の所得税の新一般の生命保険料控除が4万円から6万円に変更になったことだけに留まりました。
合計額も現行と同様の12万円であるため、現状で限度額に達している方は全く影響のない制度改正となりました。
本記事は税制改正大綱決定前の事項に基づいて解説しています。
 この記事は数千件以上の確定申告書(住民税申告書を含む)の作成経験と住民税の課税経験のある「とらまね」が解説します。
 この記事を読んでわかること
・生命保険料控除の上限額の引き上げの検討内容
・生命保険料控除の上限額引き上げによる税金の軽減額

生命保険料控除の上限額の引き上げの検討内容について

生命保険料控除の上限額の引き上げについては、金融庁が要望している「令和6(2024)年度税制改正要望について」に記載されている事項で検討内容が記載されています。

この内容では、2012年(平成24年)1月以降の契約について、所得税及び住民税、そして、扶養する子どもの有無によって上限額に変更があるとされています。

なお、実際に控除が引き上げになるのは、所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分からとなります

所得税の生命保険料控除の上限額について

所得税の生命保険料控除の上限額を現行制度と検討されている制度について、下表にまとめました。

保険種類 新・旧  上限額(円)
 現行制度 検討されている制度
こどもがいる こどもがいない
一般の生命保険料 旧制度  50,000  50,000  50,000
一般の生命保険料 新制度  40,000  60,000  40,000
介護医療保険料    40,000  50,000  50,000
個人年金保険料 旧制度  50,000  50,000  50,000
個人年金保険料 新制度  40,000  50,000  50,000
合計  120,000  160,000  140,000

※旧制度は2011年(平成23年)12月31日以前の契約(改正なし)
※新制度は2012年(平成24年)1月1日以降の契約

また、5種類の生命保険料控除を合計した場合の上限額も設定されており、現行は「12万円」ですが、検討されている上限は、「こどもがいる場合16万円」、「こどもがいない場合14万円」となっています

こどもがいる場合の一般の生命保険料控除の引き上げ額が一番多くなっています。

一般の生命保険料は、死亡保障に係る生命保険であったり、学資保険の生命保険であるため、将来のこどもに対しての備えとして重きを置かれ一番引き上げ額が多くなっていると思われます。

住民税の生命保険料控除の上限額について

住民税の生命保険料控除の上限額を現行制度と検討されている制度について、下表にまとめました。

保険種類 新・旧  上限額(円)
 現行制度 検討されている制度
こどもがいる こどもがいない
一般の生命保険料 旧制度  35,000  35,000  35,000
一般の生命保険料 新制度  28,000  42,000  28,000
介護医療保険料    28,000  35,000  35,000
個人年金保険料 旧制度  35,000  35,000  35,000
個人年金保険料 新制度  28,000  35,000  35,000
合計  70,000  70,000  70,000

5種類の生命保険料控除を合計した場合の上限額については、住民税は「7万円」となっておりますが、検討されている制度においても同額の「7万円」とされています。

つまり、現状で上限額まで届いている方には何も恩恵はないことになります

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生命保険料控除の上限額引き上げによる税金の軽減額

現在検討されている生命保険料控除の上限額引き上げによる税金の軽減額を試算してみましょう。

試算では、現行制度・検討内容の制度それぞれで「上限額に達している場合」を仮定し、計算を行います。

こどもがいる場合

こどもがいる場合の上限額は12万円から16万円に引き上げられましたので、その差額は4万円となります。
4万円分の生命保険料控除が増えた場合の所得税の軽減額は以下の表のとおりとなります。

税率 軽減額(年額)
5%  2,000円
10%  4,000円
20%  8,000円
23%  9,200円
33%  13,200円
40%  16,000円
45%  18,000円

※復興特別所得税は加味していません。

所得税は累進課税制度であり所得(正確には課税所得金額)が高いほど税率が上がりますが、控除の恩恵は税率の高い方の方が大きいです。

税率は5%~20%の方がほとんどだと思いますが、思ったより軽減額は少ないと思われたのではないでしょうか。

【参考】
税率は課税所得金額によって決定しますので、ご自身の税率については、下表でご確認ください。

課税所得金額 税率
        1,000円 ~   1,949,000円 5%
  1,950,000円 ~   3,299,000円 10%
  3,300,000円 ~   6,949,000円 20%
  6,950,000円 ~   8,999,000円 23%
  9,000,000円 ~ 17,999,000円 33%
18,000,000円 ~ 39,999,000円 40%
40,000,000円 ~ 45%

なお、ご自身の課税所得金額わからない方は、源泉徴収票や確定申告書で確認することができます。

課税所得金額の確認方法については、下記の記事を参考としてみてください。
課税所得金額はどこを見ればわかる?各帳票の記載箇所を解説!

こどもがいない場合

こどもがいない場合の上限額は12万円から14万円に引き上げられましたので、その差額は2万円となります。
2万円分の生命保険料控除が増えた場合の所得税の軽減額は以下の表のとおりとなります。

税率 軽減額(年額)
5%  1,000円
10%  2,000円
20%  4,000円
23%  4,600円
33%  6,600円
40%  8,000円
45%  9,000円

控除額が2万円の増額ですので、子どもがいる場合と比べると半分の軽減額となります。

特に、所得が少ない方(税率が低い方)については恩恵はほとんどないような状況です。

住民税の軽減額について

住民税については、上限額の引き上げはありませんでしたので、軽減される税額はありません。
もちろん、上限まで達しておらず、保険種類の上限額の引き上げによって控除額が増えた場合には軽減されます。

住民税は税率が10%と決まっているので、軽減額の計算としては、増額となった控除額に10%を乗ずることで算出できます。

しかし、引き上げが限定的であるため、軽減額は多いとは言えないでしょう。

まとめ

生命保険料控除の上限額が引き上げとなり、その恩恵を受けられるということは喜ばしいことですが、それほど大きな影響はないと言えるでしょう。

生命保険料控除の上限額が上がるからといって、生命保険を安易に増額することや加入するといったことはしないように気を付けましょう。

 

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