生命保険料控除の対象者とは
生命保険料控除の対象者は、契約した者に関係なく保険料を支払った者が受けることができます。
ただし、保険料の受取人が本人、配偶者、親族に限られます。
No.1140
生命保険料控除 [令和5年4月1日現在法令等]
妻が契約者の生命保険料
Q1 妻が契約者である生命保険契約について夫が保険料を支払っている場合、夫が支払った保険料は夫の生命保険料控除の対象となりますか。
A1 生命保険料控除の対象となる生命保険契約等とは、一定の生命保険契約等で、その保険金等の受取人のすべてをその保険料の払込みをする者またはその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。したがって、この要件が充たされている限り、保険料を支払った夫の生命保険料控除の対象になります。 (所法76)
引用:No.1140 生命保険料控除|国税庁 (nta.go.jp)
少しわかりづらいので、事例を出して考えていきます。
契約者:本人
保険料支払者:本人
保険料受取人:本人
→本人が生命保険料控除を受けられる
契約者:夫
保険料支払者:妻
保険料受取人:夫
→妻が生命保険料控除を受けられる
契約者:親
保険料支払者:子
保険料受取人:子
→子が生命保険料控除を受けられる
契約者:夫
保険料支払者:夫
保険料受取人:妻→子(年の途中離婚し子に変更)
→婚姻中の妻分の支払いと受取人を子に変更してからの支払い分が適用
※離婚後に受取人が妻のまま支払いを行った分は適用外
生命保険料控除の種類
生命保険料控除の種類は以下のとおり5つに分かれます。
・旧個人年金保険料
・新生命保険料
・新個人年金保険料
・介護医療保険料
これらの区別はご加入の生命保険会社から発行される「生命保険料の控除証明書」にそれぞれ記載があります。
※「旧」は平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく保険料を指します。
※「新」は平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく保険料を指します。
また、生命保険料控除は、支払った金額がそのまま控除額になるわけではないので、計算方法も確認しておきましょう。
所得税の生命保険料控除の計算方法について
<旧生命保険料(一般)・旧個人年金保険料>
支払った保険料 | 控除額 |
2万5,000円以下 | 支払った保険料額 |
2万5,000円超~5万円以下 | 支払った保険料額×0.5+1万2,500円 |
5万円超~10万円以下 | 支払った保険料額×0.25+2万5,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
<新生命保険料(一般)・新個人年金保険料・介護医療保険料>
支払った保険料 | 控除額 |
2万円以下 | 支払った保険料額 |
2万円超~4万円以下 | 支払った保険料額×0.5+1万円 |
4万円超~8万円以下 | 支払った保険料額×0.25+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
支払った生命保険料の種類・金額に応じて控除額の計算を行います。
住民税の生命保険料控除の計算方法について
<旧生命保険料(一般)・旧個人年金保険料>
支払った保険料 | 控除額 |
1万5,000円以下 | 支払った保険料額 |
1万5,000円超~4万円以下 | 支払った保険料額×0.5+7,500円 |
4万円超~7万円以下 | 支払った保険料額×0.25+1万7,000円 |
7万円超 | 一律3万5,000円 |
<新生命保険料(一般)・新個人年金保険料・介護医療保険料>
支払った保険料 | 控除額 |
1万2,000円以下 | 支払った保険料額 |
1万2,000円超~3万2,000円以下 | 支払った保険料額×0.5+6,000円 |
3万2,000円超~5万6,000円以下 | 支払った保険料額×0.25+1万4,000円 |
5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
支払った生命保険料の種類・金額に応じて控除額の計算を行います。
生命保険料控除額の上限について
生命保険料控除は一定の額を支払った場合、控除額は頭打ちなるので注意が必要です。
計算方法についての上記の表に記載のとおり一定の保険料額を支払ったら一律○○円となります。 しかし、5種類すべての保険料を一定額以上払ったとしても単純に合計すればいいわけではありません。
旧制度と新制度の両方を支払っている場合
次の上限額が適用されます。
(所得税)
旧制度が4万円超の控除額:旧制度の控除額のみ使用する(上限5万円)
旧制度が4万円以下の控除額:新制度と旧制度の控除額を合算して使用する(上限4万円)
【例1】
旧制度4万5,000円、新制度3万5,000円
☞旧制度が4万円超のため、控除額は4万5,000円となります。
【例2】
旧制度3万円、新制度3万円
☞旧制度が4万円以下のため、控除額を合算して6万円となるが、上限が4万円のため、控除額は4万円となります。
(住民税)
旧制度が2万8,000円超の控除額:旧制度の控除額のみ使用する(上限3万5,000円)
旧制度が2万8,000円以下の控除額:新制度と旧制度の控除額を合算して使用する(上限2万8,000円)
旧制度と新制度、介護医療保険制度のすべてを支払っている場合
5種類すべての生命保険料を支払っている場合、 所得税の上限額は12万円、住民税の上限額は7万円となります。
すべての種類の生命保険料の支払いを行っていて、それぞれ多額の金額を支払っていたとしても所得税12万円、住民税7万円になるということです。
まとめ:生命保険料控除の対象者は?
生命保険控除の対象者は、受取人が親族の場合で、契約者に関係なく支払いを行った方が生命保険料控除を受けることができます。
基本的な考えとしては、条件を満たしていれば支払いを行った方の控除となると覚えていれば間違うことはないと思います。
また、このことがわかればうまく申告することで節税することもできます。
節税の具体的なやり方については次の記事をご覧ください。
「生命保険料控除でどれくらいお得になる?申告の仕方で得する?」
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