「生命保険に加入すると生命保険料控除が受けられると聞くけど実際どのくらいお得になるの?」
「加入している保険がたくさんあるけど申告の仕方でお得になる方法はあるの?」
生命保険は多くの方が加入し、万が一の時に備えています。
その生命保険に加入することによって得られるメリットの一つである生命保険料控除については、詳しくわからない方も多いようです。
この記事では、生命保険料控除でどのくらい税金がお得になるのか、また、お得な申告方法について解説します。
生命保険料控除で安くなる金額について
生命保険料控除は所得税と住民税が安くなります。
年末調整や確定申告で生命保険料控除の申請を行うため、所得税が安くなることは知っていても住民税が安くなることまでは知らない人も多いようです。
では、順を追って、所得税と住民税で安くなる税額を確認していきましょう!
所得税で安くなる税額
所得税は累進課税制度(=所得が高ければ高い税率)を適用しているため、まずは、ご自身の税率を確認する必要があります。
税率は所得から所得控除を引いた後に計算される課税所得金額により決定します。
課税所得金額の出し方については下記のとおりです。
源泉徴収票をお持ち方
給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額=課税所得金額
下画像の赤枠部分から導き出します。
確定申告書を提出した方
確定申告書第一表右上の「課税される所得金額」が課税所得金額です。
下画像の赤枠部分=課税所得金額です。
課税所得金額がわかったら次に税額を確認します。
下表で課税所得金額を当てはめて税率を確認します。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 ~ 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 ~ | 45% | 4,796,000円 |
(例1)課税所得金額1,234,000円⇒税率5%
(例2)課税所得金額2,222,000円⇒税率10%
税率がわかったら、いよいよ生命保険料控除で所得税が安くなる金額を計算できます。
所得税における生命保険料控除の上限額は12万円ですので、12万円の控除を受けた場合で計算します。
税率5%の場合
☞12万円×5%=6,000円
※6,000円分所得税が安くなるということです。
税率10%の場合
☞12万円×10%=12,000円
税率20%の場合
☞12万円×20%=24,000円
税率23%の場合
☞12万円×23%=27,600円
税率33%の場合
☞12万円×33%=39,600円
税率40%の場合
☞12万円×40%=48,000円
税率45%の場合
☞12万円×45%=54,000円
12万円の控除額があった場合に税率毎に安くなる所得税額を記載しました。
税率が高い人の方がより恩恵を受けられることがわかります。
控除額に応じて、税率を乗じることで安くなる税額が計算できますので、ご自身に合った「控除額」と「税率」を使って計算してみましょう。
例えば、生命保険料控除の控除額10万円、所得税の税率10%であれば
10万円×10%=10,000円が安くなる税額です。
住民税で安くなる税額
住民税の税率は一律10%と決まっています。
つまり、生命保険料控除の控除額に税率10%を乗じたものが安くなる税額となります。
(計算例1)
生命保険料控除の控除額5万円の場合、
5万円×10%=5,000円が安くなる税額です。
(計算例2)
生命保険料控除の控除額7万円の場合、
7万円×10%=7,000円が安くなる税額です。
計算例のように、住民税は控除額さえわかれば簡単に安くなる税額を計算できます。
なお、住民税における生命保険料控除の上限額は7万円です。
生命保険料控除の申告方法について
年末調整
給与収入の方はお勤め先の年末調整の際に生命保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を提出することで、控除に入れることができます。
なお、お勤め先から「保険料控除申告書」が渡された場合は、この書類に記載することで生命保険料控除を受けれることになります。
確定申告
給与収入以外の方は確定申告を行うことになります。
確定申告書に生命保険料控除を記載することで控除を受けることができます。
住民税申告
住民税で控除を受ける場合については、年末調整及び確定申告をしていれば自動的に市区町村の担当者が計算して控除に入れてくれますので、住民税での申告は不要です。
しかし、確定申告を行う方で確定申告が不要な方(申告しても所得税に影響がない等)や申告不要制度を選択する方については、
市区町村で「住民税の申告書」を提出することで控除を受けることになります。
申告で得する方法
夫婦や子どもなど同一生計者でそれぞれ生命保険料の支払いを行っている場合、上限額を意識して控除の振り分けをすることで、より控除を受けることができます。
※生命保険料控除の申告で控除ができるのは、その生命保険を支払った方になります。
<ケース1>
AさんBさんの二人世帯でそれぞれ一定の所得があり、生命保険の加入が3本
・新生命保険料控除(一般)控除額3万円
・新生命保険料控除(一般)控除額1万円
・新生命保険料控除(一般)控除額5万円
これらすべてをAさんが支払い申告した場合、生命保険料控除には上限額があるため、受けられる控除は4万円となります。
では、Aさんが3万円と1万円の生命保険、Bさんが5万円の生命保険の支払いをして受けられる控除は、
Aさん4万円、Bさん4万円となりますので、前者より控除額が4万円上がることになります。
上限額を意識して振り分けると控除が増えることになります。
<ケース2>
AさんBさんの二人世帯でBさんは所得は所得なし、生命保険の加入が3本
・新生命保険料控除(一般)控除額3万円
・新生命保険料控除(一般)控除額3万円
これらすべてをAさんが支払い申告した場合、上限額があるため、受けられる控除は4万円となります。
では、Aさんが3万円、同じくBさんが3万円の生命保険の支払いをして受けられる控除は、
Aさん3万円、Bさん3万円となりますので、前者より控除額が2万円上がることになります。
しかし、控除額が増えることは間違いないですが、Bさんは所得はありません。
所得がないということは、所得税及び住民税は発生しないことになります。
つまり、この場合はBさんに3万円分の控除があったとしても安くなる税金がないため、控除の恩恵を受けられない状態になります。
よって、ケース2ではすべてAさんに控除を入れた方が得することになります。
まとめ
生命保険料控除は所得税と住民税がそれぞれ安くなります。
所得税では、税率が高い方がより恩恵を受けやすいものとなっており、住民税は所得の違いによらず一定の恩恵を受けられるものとなります。
また、生命保険料控除の上限額を意識し、控除の申告を行うことで上手に節税することもできます。
しかし、生命保険は決して安いものではありません。
控除が増えるからといって余計な保障をつけ、生命保険の支払額を増やすと控除以上に支払額が増えてしまい、節税しようと思ってやったことでも返って支払いが増えてしまっては本末転倒です。
生命保険は最低限必要な分だけ加入し、上手に節税しましょう!
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